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田澤純一は日本代表に呼べるのか?
悪しき“ルール”と現実のギャップ。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2013/10/26 08:03

田澤純一は日本代表に呼べるのか?悪しき“ルール”と現実のギャップ。<Number Web> photograph by AFLO

日本球界を経ずにアメリカに渡って5年、レッドソックスのセットアッパーとしての地位を築いた田澤。今季は自身初のワールドシリーズ出場も果たした。

ここに一人、日本の戦力になるはずの投手がいる。

 日本なら、代表入り選手のほぼ全員が所属チームでのレギュラーを確約されたままに参加できるが、競争の激しいメジャーではそう簡単にはいかない。チーム内である程度の実績と地位を築き上げ、レギュラーやローテーションの枠を確保できていない限り、選手がキャンプを抜け出してWBCに参加するのは難しいという事情がある。

 これはいかんともしがたい問題だが、それではある程度経験も積み、チ―ムで実績を残している選手(過去で言えばイチローや第2回大会のボストン・レッドソックス時代の松坂大輔投手等)を、どう代表に取り込んでいくか。そこがチーム編成のポイントになるのだが、そう考えたときに実は日本側に大きな障害があるのだ。

 ここに一人、4年後には脂が乗り切って必ず日本代表の大きな戦力になるはずの投手がいる。

 ボストン・レッドソックスで、クローザーの上原浩治投手とセットアッパーとしてコンビを組んで活躍する田澤純一投手である。

 田澤はご存知の通り、日本プロ野球のドラフトを経ずに直接メジャーへ飛び込んだ選手だった。社会人・新日本石油のエースとして活躍、2008年に日本の球団もドラフト候補としてリストアップする中でメジャー挑戦を表明。12球団にドラフトでの指名を拒否する文書を送付して、レッドソックスと契約した。

田澤への嫌がらせと、アマチュアへの“足かせ”。

 この田澤の契約で衝撃を受けたのが日本のプロ野球界だった。田澤のような有力アマチュア選手が直接メジャーと契約するようになれば、ドラフト制度の崩壊、日本のプロ野球の空洞化につながるという懸念の声が湧きあがった。その結果、出来たのがいわゆる“田澤ルール”だった。

 日本のドラフト指名を拒否して海外のプロ野球と契約した選手は、当該球団を退団後も大卒、社会人は2年間、高卒は3年間、NPBの球団に所属できない――。

 要は日本のプロ野球を蹴ってメジャー挑戦した田澤への嫌がらせと、今後同じような希望を持ったアマチュア選手への“足かせ”を作ったわけである。

 ただ、そんな日本球界の嫌がらせもどこ吹く風で、田澤はマイナーから順調にステップアップして、1年目の9月にはメジャー初昇格を果たした。'10年の右ひじ手術を乗り越え、今季も開幕からメジャー入り。シーズンを通じてブルペンを支え、上原とともに優勝の立役者となった。

【次ページ】 “拒否”した選手に、どの面下げて代表入りを頼むのか。

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