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清武・長谷部が迎えた“曲者”新監督。
攻撃スタイルが2人に与える影響は?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakamoto Tokuhara/AFLO
posted2013/10/30 10:31
ビージンガー前監督解任の際に「自分自身の責任も感じている」と発言した長谷部。新体制ではさらに攻撃的な役割を課せられた。清武とともにチームを牽引したいところ。
今シーズンに入ってから、公式戦で1度も勝利を手にしていないブンデスリーガでただひとつのチームが、ニュルンベルクだ。10試合を終えて3敗7分け。入れ替え戦にまわる16位に沈んでいる。
だが、そんなチームがこれから変わっていくかもしれない。
10月6日のホームゲームでハンブルガーSVに0-5の大敗を喫したことで、それまでチームを指揮していたビージンガー監督とアシスタントコーチのロイタースハーン氏が解任された。
ことの始まりは昨年12月、それまでチームを率いていたヘッキンク監督がシーズン途中にヴォルフスブルクへ引き抜かれるという前代未聞の事件が起きた。そこで当時ニュルンベルクのU-23を率いていたビージンガー氏を監督にすえ、同時にアシスタントコーチだったロイタースハーン氏にも権限を与えた二頭体制をスタートさせたのだが、その体制は1年と持たず終焉を迎えたのだ。
クラブは監督選びを始めたものの、これが難航した。バーゼル監督時代に4度のリーグ優勝を経験し、シュツットガルトをCLに導いたグロス氏にオファーを断られたのを皮切りに、かつてヴォルフスブルクを率いたマガト氏など複数の候補があがっていた。しかし、契約はまとまらず。結局、ビージンガー監督を解任してから15日後の10月22日に、フェルベーク氏を監督として迎え入れることになった。
「凶暴な犬」、「カリスマ性」と両極の評価。
フェルベーク氏はオランダ人で、ディフェンダー出身の選手。これまでエールディビジでヘーレンフェーン、フェイエノールト、AZを率いてきた。AZでは'10-'11シーズンから指揮をとり、3年連続でEL(ヨーロッパリーグ)出場権を手にしている。彼に白羽の矢が立ったのは、選手の平均年齢が24.6歳とブンデスリーガで4番目に若いチームの育成を期待された面もある。
彼は今年9月に選手たちとの間に軋轢が生じたという理由で、AZの監督の座を解かれたばかりだった。そのため、『ビルト』紙は「フェルベーク氏は厳格な監督として知られており、凶暴な犬のようだ」と書いて、フェイエノールト時代に会長に反旗をひるがえすために、当時のチームの中心だった元オランダ代表FWマカーイをベンチ外にしたエピソードを紹介している。もっとも、ニュルンベルク関係者からは「カリスマ性のある監督だ」という声も聞かれており、フェルベークのパーソナリティがチームにどういう影響を与えるのか注目が集まっている。