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スパルタクで上を目指すドリブラー。
U-18ロシア代表、篠塚一平の決断。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byShinya Kizaki
posted2013/10/18 10:31
スパルタクIIとスパルタク・リザーブに所属している篠塚一平。たびたびトップチームの練習に呼ばれていることからも、周囲の期待の高さが窺い知れる。
「ロシアは自国開催の2018年W杯に向けて、すごく若手育成に 力を入れている。その波に乗って、どんどん上を目指していきたい」
篠塚一平(スパルタク・モスクワII)
今季、ロシアU-18代表にも選ばれたMF・篠塚一平が新たなスタートを切った。
所属するスパルタク・モスクワが、若手にプレーする場を増やすために『スパルタクII』を設立。これまでサテライトとしての役割を果たして来た『スパルタク・リザーブ』とともに、二本柱で育成を行なうということだ。クラブから期待されている篠塚は、その両方に登録された。
篠塚は言う。
「実戦の機会が増えるのはすごく大きい。契約も新しくなって、年俸も上がりました(笑)」
この18歳の日本人ドリブラーの近況に入る前に、まずは『スパルタクII』と『スパルタク・リザーブ』の違いについて説明しておこう。
大人たちに混ざって、若者は上を目指す。
ロシア・プレミアリーグの各クラブは23歳以下が中心のリザーブチームを持っており、彼らのための全国リーグがある。昨季の優勝チームはスパルタク・リザーブで、篠塚はその優勝が決まった最終節に途中出場した。
ただし、いくら若手のためのサテライトリーグがあると言っても、出場できる選手は限られている。そこでロシアサッカー協会は各クラブにセカンドチームを作って、ロシア2部(3部に相当)に参戦することを呼びかけた。最近、ロシア代表のアンダー年代の成績が振るわないため、協会が育成改革に動いたのだ。
スパルタクは協会の呼びかけに賛同し、スパルタクIIを設立。序列としては、スパルタク>スパルタクII>リザーブという感じだ。他にはゼニト、ロコモティフ、ルビン、テレクがIIチームを立ち上げた。
ロシア2部は、ロシア・プレミアリーグ、ロシア1部に続く“大人のリーグ”である。若手にとっては、力を伸ばす絶好の場だ。