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来季のクローザーは若手にスイッチ?
守護神・岩瀬仁紀が迎える正念場。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2010/12/15 10:30
4年契約の3年目となる来季の契約を現状維持の4億3000万円で更改した岩瀬。巨人の小笠原道大と並ぶ日本球界最高年俸に見合う活躍を見せられるか(金額は推定)
下り坂に差し掛かったベテラン守護神の処遇は難しい。
守護神の最後は難しい。
先発投手にはまだリリーフで出直すという道もあるが、ベテランの守護神が再び先発に回ることは難しい。かといってチーム内での選手の“格”もあって、そんなベテラン投手を中継ぎに回すことも難しい。
チームにとっては非常に扱いの難しい選手となっていくのだ。
あっさりとしているのは今年の巨人のように外国人投手にそのポジションを任せてしまうことだ。巨人は力の落ちたマーク・クルーン投手をあっさりと解雇した。言葉はキツいが、外国人投手ならドライに契約関係で切ることができる。しかし、功績の大きい日本人のベテラン投手の場合は、どう見切りをつけるのか。そこが難しいところなのだ。
しかも、岩瀬の場合は決してガタガタと力が落ちているわけではない。2010年のシーズンも54試合に登板して42セーブの成績を上げている。球団の評価も高く、来季も年俸4億3000万円で契約を更改した。
ただ、落合監督の目からみると、以前ほどの信頼性がなくなっている。そのことだけは確かなのだ。
浅尾に9回を任せたのは「経験」のためと落合監督はいうが……。
その選手を、来季はどう使いきるのか?
そのヒントとなるのは巨人とのクライマックス・シリーズでの指揮官のこんなコメントだった。
「経験させるならでかい舞台の方がいい」
第2戦で2点リードの9回1死から、岩瀬ではなく浅尾拓也投手をマウンドに送った試合後に、落合監督はこういって小さく笑った。
もちろん「経験」とは、クローザーとして、ということだった。
いずれ中日のクローザーは、この浅尾か高橋になることは、誰もが想像できることではある。ただ……。岩瀬が元気なうちは、とまだ多くの人は思っているはずだ。