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金、石川、池田の壮絶な賞金王争い。
歴史に残る、その死闘のすべて。 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byYusuke Nakanishi/AFLO SPORT

posted2010/12/06 12:15

金、石川、池田の壮絶な賞金王争い。歴史に残る、その死闘のすべて。<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi/AFLO SPORT

「絶対に勝つと言っておいて勝てなかった」池田勇太。

 8打差からわずかな可能性にかけた最終日も出だしの6ホールで5バーディーを奪い、一時は首位と3打差まで接近した。ワンショットごと、バーディーパットが決まるたびにコースに巻き起こった歓声の渦。何度もミラクルを予感させ、コースを包んだ期待感は、2日目のチャージと同じく石川にしか生み出せない極上のエンタテインメントだった。

 同じように優勝が最低条件だった池田は5位にとどまり、自分への失望をあらわにして会場を去った。

「絶対に勝つと言っておいて勝てなかった。途中まで追い上げて最後は自滅していった。最悪のラウンドでした」

 終盤戦の好調を維持したまま初日、2日目と首位を走り、3日目に3位に後退しても「賞金王になろうがなるまいが、この試合は絶対に勝って終わる」と自信をもって宣言した。実際に最終日は前半のうちに首位をとらえた。

 ここまではプラン通りだったが、後半はまさかのバーディーなしに終わって最後に突き放された。

「最後は肉体的にも精神的にもきつかった」キム・キョンテ。

 有言実行の男が自分の言葉に対する責任を果たせなかったことは、痛恨の極みだったはずだ。しかし、だからといって池田の奮闘も色あせるわけではない。賞金王争いがここまで活気づいたのは終盤に入って2勝を挙げた池田の活躍なくしてはあり得なかったことで、キム・キョンテや石川よりも多い今季ツアー最多の4勝を挙げた点も評価に値する。

 池田もツアーの看板選手としての役割はきっちり果たしたのである。

 キム・キョンテも最後まで賞金王にふさわしいプレーを見せて5位に食い込んだ。

 石川と池田の追い上げを受けながら耐え抜いた賞金王レース。正確なショットを武器にする自分のゴルフを貫き通して、「正直言って最後は肉体的にも精神的にもきつかった」とホッと息をついた。

 優勝を飾った藤田寛之もしかりだった。

 この大会を前に賞金王の可能性はついえていたが、気持ちを途切れさせることなく初のメジャータイトルを獲得した。特に最終日、最後の3ホールはバーディー、イーグル、そして最難関の18番できっちりとパー。優勝への気迫に満ちたプレーを展開した。

【次ページ】 若手3人に競り勝った藤田はベテランの役割を果たした。

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