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フェラーリ、ライコネン獲得!!
2人の王者を並べた跳ね馬の本気度。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byAP/AFLO

posted2013/09/22 08:01

フェラーリ、ライコネン獲得!!2人の王者を並べた跳ね馬の本気度。<Number Web> photograph by AP/AFLO

今年6月のイギリスGPで、デッドヒートを見せたアロンソ(左)とライコネン(右)。2人が揃うフェラーリの赤は、今年よりもさらに眩い輝きを放つのだろうか。

ライコネンとチームメートとのいさかいは起きない?

 唯一、危惧されることはチーム内の不和だが、ライコネンであれば、それも心配はないだろう。なぜなら、ライコネンはこれまでチームメートと衝突したことは一度もないからである。

 デビューイヤーの2001年のチームメートだったニック・ハイドフェルドは、のちにロバート・クビサと衝突を起こしたほど気難しいドライバーだったが問題は起きなかった。マクラーレン時代の'05年には、ラルフ・シューマッハやジャック・ヴィルヌーヴなどほかのドライバーと喧嘩が絶えなかったファン・パブロ・モントーヤが加入したが、ライコネンは衝突しなかっただけでなく、モントーヤよりも速さがあることをしっかりと証明したものである。

 その一方で、'07年にタイトルを獲得した翌年は、チームメートのマッサが自分よりもタイトル獲得の可能性があると判断すれば、チームメートを優先させるという懐の深さも見せている。

プライドを捨てて実を取ったフェラーリに期待。

 速さがあって、どんなチームメートでも器用に対応するだけでなく、場合によってはチームの利益を優先できる賢さがある。トップチームが2人目のドライバーとして迎え入れるのに、ライコネンほど適任な存在はいなかった。

 もちろんライコネンも人間であり、欠点はある。それはマーケティング活動を好まない性格だ。しかし、それはスクーデリア・フェラーリと契約している多くの元F1ドライバーがこなしてくれるだろう。

 こうして、フェラーリはかつて自ら袂を分かったフィンランド人を三顧の礼を尽くして迎え入れるという決定を下したのである。マラネロが自らのチームでタイトルを獲得した後にチームを離脱したドライバーと再び契約するのは、1953年にタイトルを獲得したアルベルト・アスカリを翌シーズンの終盤に呼び戻した'54年以来、60年ぶりのこと。

 プライドを捨てて実を取りにいった跳ね馬。久しぶりに翌シーズンが待ち遠しく感じる発表だった。

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