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ダルビッシュを攻略して歴史的偉業!
パイレーツ、21年ぶり勝ち越し決定。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/09/14 08:01
9月9日、レンジャーズ戦で好投を見せ、勝ち投手となったゲリット・コール選手。ここまで7勝7敗、防御率3.48と更なる活躍が期待される。
チーム年俸総額25位、若いチームの快進撃は続く。
負け越しが続いていたとはいえ、ここ数年チームは着実に地力をつけてきた。
日本ではあまり知られていないことだが、2003年にパイレーツ傘下のマイナーリーグ全6チームがすべてプレーオフ進出を果たすなど、地道に若手選手の育成に取り組んできた。
その甲斐あって前述のコール、マカチェンの他、ペドロ・アルバレス選手、ニール・ウォーカー選手、ホゼ・タバタ選手などが主力に成長した。
そこにAJ・バーネット投手、ラッセル・マーティン捕手、ワンディ・ロドリゲス投手らの実績あるベテラン選手が加入。
今シーズン、ついに成績に現れたように、カージナルスなどの強豪チームと互角に渡り合えるチームにまで成長を遂げていたのだ。
81勝目から82勝目を挙げる間に4連敗した時には記録阻止による安堵感だと揶揄されたりもしたが、実際はそうではないだろう。
チーム力は上がったとはいえ、彼らは今シーズン開幕時のチーム年俸総額がメジャー25位でしかなかった若手選手中心のチームなのだ。
前述通り主力には生え抜き選手が多く、彼ら自身もシーズン勝ち越しの経験がない。つまり安堵感というよりも、未体験ゾーンに入った戸惑いのようなものだったのではないだろうか。
シーズン勝ち越しという未体験の殻を破ったパイレーツ。ここからさらに地区優勝、プレーオフ争いという更なる未体験ゾーンへと突き進んでいく。これらをすべて打ち破れば、彼らはきっと常勝軍団へと変貌を遂げることになるだろう。