スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
松坂大輔とマーク・プライアー。
~復活に懸ける32歳の天才投手~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2013/07/27 08:01
18勝を挙げた2003年、カブスでの雄姿。マーク・プライアーがふたたびメジャーのマウンドに還ってくる日は来るのか。
これが最後だ、とつぶやきつつマウンドに登ってきた。
そんな彼が、2013年はレッズ傘下のAAAに加わった。ご承知のとおり、レッズの監督はカブス時代の恩師ダスティ・ベイカーだ。'04年にプライアーが故障した際、酷使の責任を問われたのは、ほかならぬベイカーだった。ベイカー自身、ブルペンに信を置けず、プライアーに依存しすぎた事実は認めている。
が、ふたりの間柄はいまも親密だ。レッドソックス傘下のポータケットを解雇された際、プライアーはベイカーに直接電話をかけ、レッズとのマイナー契約を取り付けている。
ただ、プライアーの肩が完全に復活するのはむずかしいのではないか。プライアー自身、これが最後だ、とつぶやきつつマウンドに登ってきたことを告白している。肩の調子は、現在も悪そうだ。率直にいって、メジャー復帰の可能性は松坂大輔よりもずっと低いといって過言ではない。それでも私は、プライアーにできるだけ長く投げつづけてもらいたい。野球とは、そういう継続の仕方を可能にするスポーツではないか、と思うからだ。