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8年ぶり前半戦負け越しの日本ハム。
栗山監督の「のたうち回る」技術。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/07/22 12:10
栗山監督は自身初となった借金1での前半戦終了について「一時期の苦しい状況を考えれば、選手が頑張ってくれた。後半戦で勝負できるところに来ている」と語った。
修正能力の高い武田勝にかかる期待。
6勝5敗、防御率5.00。前半戦の成績だけを見れば、はっきり言って悪い。それでも、4年連続で2ケタ勝利をマークしていた彼には経験に裏打ちされた高い修正能力がある。
不振を極めていた6月初旬。武田勝は選手兼バッテリーコーチの中嶋聡から、「バッターに向かって体重移動しろ」とアドバイスを受けた。左腕が遠回りして出ているから制球が定まらない。だからリズムを崩す――。そのことに気づかされた彼は、昨年までの「いい自分」に戻りつつあると好感触を得たという。
35歳。“のたうち回る”年齢ではないものの、武田勝なりに試行錯誤を繰り返し、活路を見出そうとしているのだ。
「それまでもがいていた自分がいたので、中嶋さんのアドバイスで楽になれました。気が付かないところを指摘してもらえたお蔭で体重移動もしっかりできるようになりましたし、フォームも安定してきていると思います」
首位・楽天とは6.5差。「手が届かないわけではない」!
武田は6月9日のヤクルト戦から3連勝と勢いに乗ったかと思えば、7月1日のソフトバンク戦と9日の楽天戦ではKOされるなど、完全に復調したわけではない。それでも、15日の西武戦では6回1失点で勝ち投手となり、いい形で前半戦を終えることができた。
「勝がちゃんと投げてくれればチームにも安心感が生まれる」
栗山監督も全幅の信頼を寄せる武田勝。彼の投球が後半戦の重要なカギとなるだろう。
借金1の4位。しかし、首位・楽天とのゲーム差は6.5と、残り62試合もあると考えれば日本ハムの連覇への可能性は十分に残されている。
栗山監督は言う。
「それほど(優勝に)手が届かないわけではない」
勝利へのピースが全て揃った時、日本ハムの戴冠は現実味を帯びてくる。