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無敗の聖地・埼スタでW杯決定を!
オーストラリア戦、日本はどう戦う?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/06/03 11:40
良いところなく敗れたブルガリア戦ではセットプレーから2失点を喫したザックジャパン。オーストラリア戦では、攻守ともに高い集中力でセットプレーに臨みたい。
試合前日の合流となった本田と岡崎の起用は!?
1対3の逆転負けを喫したドイツ・ワールドカップ以降の対戦を見ると、引き分けか1点差のゲームが続いている。今回もロースコアの攻防が必至だ。前回の対戦で日本がショートコーナーから得点、オーストラリアがCKからPKを得たように、リスタートが重要な意味を持つだろう。ザックが強調する「インテンシティ」も、警戒心と集中力を最大値で維持することを意味している。
高さを前面に押し出してくる相手のリスタートをしのぐのはもちろんだが、攻撃のリスタートを有効活用したい。右足なら遠藤保仁と清武弘嗣、左足なら本田圭佑という優れたキッカーを、このところの日本は生かしきれていない。直接ゴールを狙える位置からのFKを、獲得できていないのだ。相手がファウルで止めざるを得なくなるような仕掛けが少ないのである。
そうした状況を踏まえると、システムは4-2-3-1がいいだろう。個々の技術と連動性をフルに引き出すためにも、使い慣れたシステムを選ぶべきだ。
議論の余地を残すのはキャスティングだ。
本田と岡崎慎司は、試合前日の合流となったものの先発で起用したい。
守備でもハードワークできる岡崎なら、ロングボールの出どころをしっかりとケアできる。DFラインの背後を突くフリーランニングは、クイックネスに欠ける相手守備陣には厄介なはずだ。
公式戦いまだ無敗の埼玉スタジアムという舞台で――。
オーストラリアが最終予選であげた6得点は、すべて後半に記録されている。しかも、5点までが70分以降だ。昨年の日本戦では序盤に攻勢を仕掛けてきたが、後半に巻き返すのが彼らのパターンだ。
相手が勢いを増してくる後半途中から、本田や岡崎を投入する選択肢もある。だが、オーストラリアの機先を制することで、ゲームの主導権をつかみたい。
本田と岡崎にはスタミナが尽きるまで粘ってもらい、交代のカードを切っていく。そもそも、総力戦は想定内である。どこでどのようなカードを切るのか。ザックの手腕が問われる。
6月4日の埼玉スタジアムと言えば、2002年の日韓W杯を思い起こす人もいるだろう。ベルギーと演じた2対2のクロスゲームは、初の決勝トーナメント進出の足掛かりとなった。
あれから11年の歳月が流れた。ジーコ、オシム、岡田武史と指揮官は代わったが、埼玉スタジアムの公式戦はいまだ無敗だ。ザックのもとでも5連勝中である。国立競技場に代わる新たな聖地と言っていい舞台は、国内で初めてワールドカップ出場を決める瞬間にふさわしい。