スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
ハミルトンと晩成型の大選手。
~MVP最有力打者の「大化け」~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byYukihito Taguchi
posted2010/09/01 10:30
薬物使用で2度にわたって出場停止処分を受けたが、見事に復活。08年には打点王に輝いている
大器晩成のハミルトンは歴史に名を刻む活躍をみせるか。
だが、これはさすがに勇み足ではないだろうか。
なるほど、私の眼から見ても、ハミルトンは今季MVPの最有力候補だ。M・カブレラ、カノー、マウアーらを押しのけて、彼が栄誉に輝く可能性はかなり高い。ただ、レンジャーズの本拠地が打者に有利な球場であることは割り引いて考えなければならないし、四球の数がイチロー並みに少ないことは、中距離打者としてはやはり物足りない。いいかえれば、ハミルトンはいまのところ、ディマジオやマントルの域には達していないと見るべきなのだ。
ただ、晩成型の選手だけに、安打製造法を覚えた今後は、かなりの期間、高原状態を維持する可能性が高い。私の頭のなかでは、全盛期のラリー・ウォーカーやトッド・ヘルトン、さらにはラファエル・パルメイロらの姿がダブって見える。