スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
マット・ハーヴィとメッツの復活。
~ドクターKの系譜に連なる超新星~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2013/05/19 08:01
4戦すべて被安打4以下という驚異の投球で開幕4連勝を飾り、4月のナ・リーグMVPを獲得したマット・ハーヴィ。“ドクターK”ことドワイト・グッデンの再来となるのか。
なぜか近ごろ、ドワイト・グッデンの名前がよく引き合いに出される。
ダルビッシュ有が通算300奪三振を達成したときは「グッデンについで史上2番目の早さ」という見出しが躍った。
もうひとり、ことあるごとにグッデンと比較されているのがマット・ハーヴィだ。
2013年5月7日の対ホワイトソックス戦で、ハーヴィはもうちょっとで完全試合(6回3分の2までパーフェクト。7回、アレックス・リオスに内野安打を許したが、その後も9回まで投げて無四球無失点。そこで降板して勝敗はつかなかった)の快投を演じた。これは日本のスポーツ新聞でも報じられている。
ハーヴィは4月13日の試合(対ツインズ戦)でも6回3分の2まで被安打ゼロの好投を演じた。このときはジャスティン・モーノーに本塁打を浴びたが、8回まで投げて勝利投手になっている。スタッツは2安打2四球1失点。
開幕して1カ月ちょっとの短期間にこれだけの成績を挙げれば、メディアは放っておかない。メッツの試合があまり放送されない日本では見る機会が少ないが、興味のある方はMLB.comのビデオをチェックしていただきたい。
デビュー戦11奪三振で示した才能の片鱗。
特徴は、身体が大きく(193センチ、102キロ)、球持ちが長いことだ。セットポジションからの投球で、左右両腕が1本の棒のように前後に伸ばされ、160キロ近い速球が投げ込まれる。もちろん、腕の振りは速い。変化球で目立つのは、145キロ前後の高速スライダーと、打者の手もとで大きく変化する135キロほどのチェンジアップ。
ハーヴィは1989年3月27日にコネティカット州ニューロンドンに生まれた。今年24歳。2010年のドラフトでメッツに1位指名(全体では7番目)され、12年7月にはメジャーのマウンドに登った。デビュー戦で11三振を奪って才能の片鱗を示したが、この年の成績は10試合に先発して3勝5敗。ただし、2.73の防御率と59回3分の1を投げて奪三振70という数字は無視しがたい。
というわけで、2年目のハーヴィは、天才グッデンをはじめ、いろいろな投手と比較されている。