三食見学ツアーBACK NUMBER
大貫友梨亜/新体操
「小食でも1日中動けるのはなぜ?」
text by
芦部聡Satoshi Ashibe
photograph bySatoshi Ashibe
posted2010/08/16 06:00
9月の世界選手権が目標。五輪は「まだ頭にないです」
わずかな食事でも耐えられるのは厳しい節制のおかげ?
4時間ほどの濃密なトレーニングののち、ようやく昼食の時間になった。椅子に座って見ているだけでも腹が減るのだから、大貫さんの具合も推して知るべしであろう。
「今日は午後も練習があるので、体育館で食べます。おべんとうを持ってきたんですよ」
そういってバッグから取り出したのは、おにぎりひとつと、ひとかけらのチーズ。
「それとヨーグルトも持ってきましたよ」
朝もろくすっぽ食べていないというのに、これでおしまい? もしかして減量中とか?
「いや、このぐらいが普通なんです。中高生のときは食事制限されていて、食べたくても食べられなかったけど……。合宿のときなんか、食事中もコーチが見張っていて、残さないと叱られるんです。ハンバーグの外側を残して、中身をくり抜くように食べたりとか、うまくごまかしてましたけどね(笑)」
現在は栄養指導の考え方も変わり、過度な食事制限はしないと付け加えたが、厳しい節制が小食に耐えられる体質をつくったのかもしれない。そんな感想を編集者と話しながら、ファミレスの脂っこいハンバーグランチを平らげてしまった。……だから腹が出るのか!
ローカロリーと激しい運動でも「体重の変動はほとんどない」。
「今日は夕方で練習が終わったんですけど、体育館が使えるときは夜10時ぐらいまでぶっ通しでやる日もある。だから、晩ごはんを食べる時間はまちまちなんですよね。今日は自炊したけど、スーパーのお総菜で済ませるときもあるし……。本当はもっと食事に気を配ったほうがいいんでしょうけど、練習で疲れちゃって、二の次になっちゃいますね」
夜8時、テーブルに並んだ晩ごはんは、朝昼と同じくずいぶん少量である。1日のカロリー消費量は相当なものだろうが、この食事量でも「体重の変動はほとんどない」という。
「たまには友だちとお酒を飲んだりもしますよ。居酒屋さんの食べ・飲み放題プランで注文伝票が何十枚にもなったりして(笑)」
念のため頻度を確認すると「年に数回」と指を折る。そんなのはこちとら毎日ですがね。
大貫友梨亜(おおぬき ゆりあ)
1986年1月11日、東京都生まれ。 身長164cm。体重51kg。幼少時に通っていた体操教室で新体操にふれる。新体操の名門・東京女子体育大学を卒業し、現在も同校OGとして競技をつづける。9月の世界選手権と11月のアジア選手権に個人代表選手としての出場が決まった。