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ドルトムントは“奇跡”を許さない!
鍵は攻め急ぐレアルの裏のスペース。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byBongarts/Getty Images
posted2013/04/30 13:10
CL準決勝、レアル・マドリーとの2ndレグ前日会見に臨むドルトムントのクロップ監督(左)とMFギュンドガン。16年ぶりの決勝進出がかかる一戦を前に、リラックスした表情を見せていた。
ドルトムントの選手たちには、知りたくもないデータがある。
実はレアル・マドリーは、過去に3度も奇跡を起こしているのだ。
'75-'76シーズンのチャンピオンズカップでは、ダービー・カウンティとのアウェイの1stレグで1-4で敗れながら、ホームでの2ndレグで延長戦の末に5-1で勝利した。
'84-'85シーズンのUEFAカップでは、アンデルレヒトに1stレグで0-3で敗れながらも、2ndレグのホームゲームで6-1と巻き返した。
'85-'86シーズンのUEFAカップでも、ボルシアMGに1-5で敗れて迎えた2ndレグで、4-0で勝利して、勝ち抜けを決めている。
ドルトムントの前に控えるレアルは、不可能を可能にしてきたチームなのだ。
だが、ベスト4に進んだチームのなかで平均年齢25.2歳と最も若いドルトムントの選手たちは自信をのぞかせている。
前半終了間際に追いつかれるも、チームは下を向かず。
彼らが心のよりどころにするのは歴史ではなく、今シーズンの戦いから得た実感である。
1つ目が、すでにレアルを“上回ったことがある”という自信である。
完璧に近い戦いを見せた準決勝の1stレグにおいて、唯一、悔やまれるのは前半42分、センターバックのフンメルスが犯したミスから失点を許したシーンだ。そこまでプラン通りに進めていたドルトムントは、この失点により失意のままハーフタイムを迎えることになった。
この試合では、前半終了のホイッスルが鳴ると、フンメルスは肩を落とし、うつむきながらピッチを離れ、ロッカールームへと戻っていった。GKのバイデンフェラーは、このあとのやりとりを以下のように明かしている。
「ロッカールームへ戻る通路で、ヤツに向かって大きな声で呼びかけたんだよ。『おい、俺たちはグループステージのとき(ホームでレアルに2-1で勝利した試合)だって、1-1でハーフタイムを迎えたじゃないか!』ってね。そして、そこからまた俺たちは流れを取り戻したんだ」