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ベッテルが逆ギレし、ウェバー沈黙!?
レッドブルの終わらない序列騒動。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byAFLO
posted2013/04/19 10:30
中国GP決勝でマシンから右の後輪が脱落。信じられないようなチームメカニックのミスに、茫然とするウェバー。
ステファノ・ドメニカリの記者会見に出席しようとフェラーリのチームハウスへ行くと、そこにはレースを終えたばかりのフェルナンド・アロンソと フェリペ・マッサが別々のテーブルで軽食を採っていた。しばらくするとマッサが席を立ち、祝福しにアロンソの元へ行った。立ったまましゃべり続けるマッサを、座って生ハムを食べながら聞くアロンソ。その逆はない。常に歩み寄るのは、マッサ。この3年間、フェラーリ内でずっと見続けてきた光景である。
前戦マレーシアGPで問題となったチームオーダーだが、マッサはモータースポーツにチームオーダーは必要だと説く。
「自己を犠牲にしてでもチームメートを優先する正当な理由があれば、僕はチームオーダーには反対しない。現に僕は何度もやってきた。キミ(・ライコネン)がチャンピオンを決めた'07年の最終戦がそうだったし、フェルナンド(・アロンソ)に関しては大事なレースで何度も助けた」
チーム内での序列を受けいれるしかないことを、マッサは悟っている。
この日、マッサはコース上で順位を入れ替える形でのチームオーダーは行わなかったが、1回目のピットストップではチームメートを優先してコース上にとどまった。6~7周目あたりでガクンとラップタイムが落ちると予想されていたソフトタイヤを装着してスタートしていたフェラーリの2台は5周目時点で約1秒差で1-2体制を築いていたが、6周目にアロンソがピットインした直後に、マッサのラップタイムが1周で約1秒落ち、ルイス・ハミルトンとキミ・ライコネンに逆転を許してしまった。
それでも、その現実を受け入れて、戦わなければならないことをマッサは悟っている。
しかし、チーム内での序列と葛藤し続けるドライバーもいる。
マーク・ウェバーだ。
3週間前のマレーシアで、チームオーダーを無視して優勝したチームメートを公然と批判。史上最年少で3連覇を達成し、事実上チームのナンバーワンであるセバスチャン・ベッテルに対して、一歩も引かなかった。