濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
青木と川尻がついにタイトル戦を!!
1分53秒でPRIDE時代に“終止符”。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2010/07/17 08:00
良きライバルとして、良きパートナーとして、互いに「PRIDE後の時代」を支えてきた青木真也(写真右)と川尻達也(写真左)は、DREAMのリングで堅い握手を交わした。
「PRIDEは今日で終わりです」と青木は言った。
タイトルマッチは、青木の圧勝だった。開始直後、青木がタックルを仕掛ける。カットされると、すかさずアキレス腱固めへ。「(関節が壊れる音が)鳴ってる!」とレフェリーにアピールした青木だが、川尻は脱出を試み、カカトを顔面に打ちつけてみせる。川尻の覚悟を感じ取ったのだろう、青木は角度を変え、右腕でロックした足首をさらに絞め上げた。
1ラウンド1分53秒、川尻のタップアウトで試合は終わった。青木はやりたいことだけをやり、川尻は何もできなかった。
「PRIDEは今日で終わりです」
マイクを握った青木は、そう宣言した。かつて“PRIDEの聖地”と呼ばれた会場の天井を呆然と見上げていた川尻も、この言葉に異存はなかったはずだ。試合時間そのものは2分弱でも、この試合にはPRIDE休止以降、彼らが繰り広げてきた3年分の苦闘の重みがあった。
DREAMという舞台で、青木と川尻はPRIDEという過去と闘い、“力ずく”の“無茶”を重ねた。そのことで、PRIDEでは中心人物になることができなかった彼らが、直接対決によって“PRIDE後の時代”を終わらせたのである。そしてこれからは、過去と比較されることのない未来が二人を待っている。