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「残留」から「CL&EL」へ目標修正!
若き“古豪”レアル・ソシエダの猛進。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2013/04/04 10:30
好調ソシエダのキーマンであるMFパルドはまだ20歳。U-17からスペインの各世代別代表に選ばれている将来有望な司令塔だ。
“銀河系選抜”を相手に優勝争いを演じた10年前。
いまからちょうど10年前、フランス人監督レイノー・ドヌエに率いられたレアル・ソシエダは前半戦19試合を無敗で終え(12勝7引き分け)、後半戦に入っても首位をひた走り、シーズンを大いに盛り上げた。
結局、第37節の敗戦で、ジダン、フィーゴ、ロナウドらを擁する“銀河系選抜”のマドリーにタイトルを譲ってしまったが、当時21歳のシャビ・アロンソが頭角を現したチームはマドリーファンを除くあらゆるサッカー好きのサポートを得て、ほぼ毎週末、胸のすくゲームを見せてくれた。そのときの高揚感を覚えている人が、大ヒット映画の続編に盲目的に足を運ぶように、願望と心情だけでモンタニエのチームに期待したのだ。
ところが蓋を開けてみると、昨シーズンのレアル・ソシエダは凡庸だった。抜擢されたカンテラ出身の若手数人が才能を示したが、チームのパフォーマンスが上がることはなく、1部残留が関の山だった。
それゆえ今季は特に注目されず、弱気な試合ぶりに結果も伴わず、序盤は勝っては負け、負けては勝つの繰り返しだった。
11節以降の19試合で、敗戦はマドリー戦の1敗のみ!
そんな流れが一変したのは17位で迎えた第11節のマラガ戦である。
きっかけは生え抜きのMFルベン・パルドの先発出場。彼の頭抜けたパスセンスと技術にリードされたチームは最高のサッカーを見せ、好調マラガを1-2で破った。
以来、先週末の第29節まで10勝8分け。1月6日のマドリー戦以外に負けはない。
いまのレアル・ソシエダの強さの秘密は、なんといってもスピードがありテクニックもあって効率がよい、痛快なサッカーそのものだろう。加えて、若さもある。
攻撃的なスタイルが特徴なので、スポットライトは、スペースを突く動きが見事なウルグアイ人イフランや、安定したプレイを見せるベテランのシャビ・プリエト、“偽9番”として決定的な仕事をするメキシコ代表ベラ、当たりに強い9番アギーレチェらオフェンス陣に向けられがちだが、チームの中心となっているのはカンテラ出身の、20歳そこそこの若者たちである。