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たかが34分の1勝、されど大きい――。
浦和が開幕戦に乗せた“トッピング”。 

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阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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photograph byHiroshima Central Images

posted2013/03/06 10:30

たかが34分の1勝、されど大きい――。浦和が開幕戦に乗せた“トッピング”。<Number Web> photograph by Hiroshima Central Images

「ピッチの中で血を流してでも浦和レッズの勝利のために頑張っていきたい」と試合前に語っていたレッズの森脇良太は槙野智章、永田充との3バックで佐藤寿人をシュート1本に抑えた。

広島のお株を奪うゲーム運びで浦和が痛快に逃げ切る。

 槙野智章、柏木陽介もかつては紫のユニフォームだったし、今年は昨シーズンの優勝に貢献したDFの森脇良太も移籍した。移籍はやむを得ないにしても、同じチームに行き過ぎではないのか。そんな憤懣が蓄積していたようで、森脇などはボールを持つたびに観客から大きなブーイングを浴びていた。

 一見すると、遺恨はサンフレッチェのほうが深そうで、それが試合に反映されるかと思ったが、実際には逆だった。サンフレッチェは冷静に試合を進めたが、その冷静さは時に覇気のなさにも見えた。

 一方のレッズは縦のパスをワンタッチでつなぐ展開でサンフレッチェを切り裂いて前半には柏木が先制ゴール。後半の開始直後も原口元気の得点でリードを広げ、反撃を1点に抑えて逃げ切った。

 まるで去年のサンフレッチェをレッズが演じているような展開で広島のサポーターを沈黙させた。

攻撃もさることながら、レッズの守備陣は素晴らしい動きを見せた。

 攻撃のスムーズさはみごとだったが、それ以上に安定して目立ったのは守り。サンフレッチェの中心である佐藤寿人を槙野を中心としたDF陣がよく抑え、後半36分まで1本のシュートも打たせなかった。佐藤がシュート1本ではサンフレッチェに勝ち目はない。

 遺恨試合めいた空気に染まらず、相手のやりたいことを自分たちがやって見せて、敵地で勝つというのは痛快な勝利だったろう。

 2点目を決めた原口はGKがファンブルしての得点に少し照れくさそうだったが、「去年の悔しさがあった」と、この開幕戦に特別な意味を持たせていたことを匂わせた。

 レッズは昨シーズン、終盤にみごとな追い上げを見せてACL圏内に食い込んだ。それだけに開幕のつまずきが後になってよけい悔しく感じられたのではないか。

「あそこで広島にあんな負け方をしなければ」

 だからこそ開幕戦に過剰なまでの意味を持たせた。

【次ページ】 シーズン中の1勝という以上の価値を手に入れたレッズ。

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