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“昨年の悪夢”がよぎったが……。
ガンバ大阪、J2開幕戦ドローの意味。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/03/04 12:30
J2開幕戦、京都サンガと引き分け、肩を落として引きあげる(右から)遠藤保仁、今野泰幸、二川孝広らガンバ大阪の選手たち。
いつか引っ繰り返されるんじゃないか……。
配置換えが功を奏したのか、少しずつ流れがガンバに傾き始めた。すると後半15分、遠藤のパスを受けた阿部浩之が狙い澄ましたミドルシュートを決めて同点。その勢いのまま後半17分、レアンドロが自ら得たPKを決め、わずか2分で試合を引っ繰り返したのである。
だが、問題はここからだった。
昨年も、リードはするものの終盤に追い付かれ、最後に突き放されて、勝ち点を失った。そうして、最終的に「勝ち点2」の差に泣き、J2に降格したのだ。この試合も、後半30分過ぎから京都が中村祐哉、久保裕也を投入して勝負に出ると、流れが怪しくなっていった。
いつか引っ繰り返されるんじゃないか……。
そんな不安がチームに漂っているように見える。
後半ロスタイム、昨年の“悪夢”を彷彿とさせる逆転弾。
昨年の最終節の磐田戦では、一度は同点に追い付いた。だが、「あまり勝てる気がしなかった」と、選手は言い知れぬ不安を抱えてプレーし、最後に失点した。
この日も終盤、相手の勢いに飲まれるような展開になった。後半36分、山瀬功治のゴールで2-2に追いつかれると、10分後の後半ロスタイムには途中出場の久保に逆転弾を許してしまう。J2に陥落させられたあの磐田戦のような展開になったのである。
その瞬間、多くの観客がため息をつき、勝負を諦めたように席を立った。昨年の終盤と同じ寒々とした光景だった。
しかし、その2分後、試合終了間際になんとか遠藤のPKで3-3の同点に追い付き引き分けに持ち込んだ。ガンバは開幕戦を勝利で飾ることが出来ず、試合前の熱気はすっかり冷めていた。
今野は、“負けなくてホッとした”という表情を浮かべて、こう振り返った。
「開幕戦で硬かったし、ミスしたらいけないという気持ちもあった。相手が前から来ていた分、俺らからすれば相手のサイドバックが前に出て、センターバックもサイドにつり出されていたんで、チャンスだったんですけど……。相手のプレッシャーの凄さにそこを狙う余裕をなくされてしまった。勝ちたいという気持ちが強かったので、それが焦りにも繋がってしまったかなと思います」