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“昨年の悪夢”がよぎったが……。
ガンバ大阪、J2開幕戦ドローの意味。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/03/04 12:30
J2開幕戦、京都サンガと引き分け、肩を落として引きあげる(右から)遠藤保仁、今野泰幸、二川孝広らガンバ大阪の選手たち。
ガンバ大阪のJ2開幕戦は、京都サンガ相手に辛うじて3-3のドローに終わった。だが、後半ロスタイムまでの試合展開は、まるで昨年の悪夢を見ているようだった。
3月3日16時のキックオフ前、ガンバのホームである万博記念競技場は、熱気と期待感に溢れていた。チケットは完売し、1万8041人もの観客が訪れた。その数は前日、大阪長居スタジアムで行なわれたJ1のセレッソ大阪の開幕戦(1万5051人)を越えるものだった。取材陣の数も非常に多く、とてもJ2の試合とは思えなかった。
長谷川健太が新監督に就任し、遠藤保仁、今野泰幸の代表組も健在で、メンバーは昨年とほぼ同じ。フィジカル中心のグアムキャンプ、守備の立て直しに時間が割かれた宮崎のキャンプも順調に消化し、戦いの準備は整っていたはずだった。
この戦力でJ2で勝てない訳がない。快晴ながらも北風が吹き荒び、非常に寒い一日となったが、ガンバファンの多くは勝利でのスタートを信じて疑わなかった。それゆえの満員のスタンドだったのだ。
だが、試合は思わぬ展開を見せた。
京都のプレスにはまって冷静にゲームを運べなくなったガンバ。
京都は、前線から捨て身のプレッシャーでガンバのパスサッカーを封じ込めていった。その勢いに押され、遠藤もほとんど前を向いて仕事が出来なかった。ガンバは後手を踏み、いつものリズミカルなパス回しがまったく出来なくなったのである。
2トップの一角として先発した家長昭博は、“難しさ”を感じていた。
「相手のプレッシャーは確かに凄かったけど、自分たちももうちょい落ち着いてやれば良かったと思いましたね。一人かわせば、けっこうスペースがあったし、そこを突けばチャンスになった。でも、まぁ開幕戦の緊張感もありましたし、初めに相手のプレスにハマってしまって、冷静にゲームを運べなくなってしまった」
さらに昨年からの悪い流れが今でも続いているかのように、前半24分、相手に先制点を奪われ、追う展開になってしまった。
後半、長谷川監督は早速、手を打った。
家長が説明する。
「ポジションを変えました。2トップだった自分が右サイドに入って、秋(倉田)を真ん中に。サイドで攻撃の起点になってくれという監督の狙いです」