スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
なぜバルデスは突然退団を表明した?
バルサで守護神を務めるという孤独。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byDaisuke Nakashima/AFLO
posted2013/02/22 10:30
バルデスに向けて感謝のメッセージを掲げるカンプノウのファン。
頑固で不器用なバルデスらしい別れ方……かも。
退団表明の後、初めてカンプノウのピッチに立った1月27日のオサスナ戦では、バルデスへの支持を示す熱烈なコールがゴール裏から何度も沸き起こった。
その翌日、サンドロ・ロセイ会長は「扉は開放されている。彼が考えを変え、バルサでプレーし続けてくれることを願っている」と呼びかけた。
それでも今さら彼が心変わりすることはないだろう。退団の意思を公表した以上、恐らく今季終了後にもクラブに移籍金を残して出ていくことになるはずだ。
別れの告げ方は褒められたものではなかった。だがそれは、頑固で不器用な彼らしいやり方だったとも言える。いずれにせよ、そのことで彼が築いてきた功績が薄れることはないし、あってはならないと思う。
それで10年以上も貯め込んできた“しこり”が消えるかは分からない。だがせめて最後くらいは、彼が人々の愛情を十分に感じながら出て行けることを願うばかりだ。