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<少なく食べて、なぜ動ける?> 小食アスリートの研究。~ボートレーサー・後藤翔之選手~
text by
成田智志Satoshi Narita
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2013/01/06 08:00
競艇の後藤選手は身長170cm、体重53kgでもやや太め!?
競馬の騎手と同様、ボートレース(競艇)では選手が軽量であればあるほど有利であるのだが、最近では170cm前後の平均的な身長の選手が少なくない。
後藤翔之選手もそんな普通の背丈の選手のひとりだ。身長は170cmと一般人と変わらないが、体重は53kgとさすがに絞りこんでいる。
それでも後藤選手に言わせると、この体重はやや太めなのだという。
「去年までは最低体重規定ギリギリの50kg近くまで落としていたのですが、今年は体調管理を考えて体重をいったん53kgまで戻しました」
ちなみに170cm/50kgという数値を肥満度を測る体格指数のBMIに当てはめると、17.3だから理論上は「痩せすぎ」の領域である。しかしボートレーサーはヤワな体格では務まらない、過酷な職業のはず……。
「ボートに乗っていると膝や腰へ大きな衝撃がかかるので、強い筋肉は必要です。筋力をつけるとダイナミックなターンも決められますしね。でも、やっぱり体重が軽くなくては勝てませんから、無駄な肉がつかないよう筋トレはほどほどにしないと。その兼ね合いが難しいんです」
「特別なことをしているわけではない」が、お昼は食べない。
そのため毎日の食事は自然と少なくなっていく。朝食が和食なら白米を軽く一膳とサラダ、少量のおかずに納豆だという。
「なにか特別なことをしているわけではなく、通常の食事の量を半分に減らしているだけですね。お昼は食べません。夕食は体重維持のために白米は抜く、野菜は必ず食べる――工夫といえばこの程度ですねえ」
禁欲生活を送っているわけではなく、この食事の量で十分にお腹いっぱいになるから、夜にお腹が減って困ることも無いという。
「肉や魚も量は少ないですが食べますし、オフの日はお酒も飲みますよ」