MLB東奔西走BACK NUMBER
MLB市場の日本人評価は回復基調!?
藤川、中島の高評価に表れる期待感。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/12/28 10:31
海外FAでシカゴ・カブスと2年950万ドル(約8億円)という破格の契約を結んだ藤川球児投手。メジャーでクローザーとしての活躍を目指す。
エンゼルスの広報から思わせぶりなメールが届いたのは12月14日のことだった。
「明日11時30分に重大な発表を行ないます」
どのチームでも、広報から送られてくる記者発表会の通達メールは大抵の場合、その内容についても事前に説明されるもの。その短い文面から、エンゼルスにとって余程大きな出来事があったのだろうと容易に想像できた。
そして翌15日、すでにご存知の通りレンジャーズからFAになっていたジョシュ・ハミルトン選手の入団記者会見が行なわれたというわけだ。
昨年オフもアルバート・プホルス選手、CJ・ウィルソン投手、投打の大物FA選手を獲得したエンゼルスの更なる大型補強に正直驚かされたが、それと同時に感じたのが、今オフのストーブリーグの動きがかなり低調だということだった。
移籍市場に大きな影響を与える、大物FA選手の契約状況。
そもそも各チームの補強計画はオーナー(もしくは経営陣)から事前に提示された翌シーズンの年俸総額予算を目安に、GMが中心となってスカウト達と意見交換しながら選手たちをリストアップしていく。そのため基本的に資金が最も必要となってくる大物FA選手の優先順位が高く、その後、徐々に年俸が低い選手との契約交渉へと移行していく。
'11年オフの場合、プホルス、ウィルソンの2人は、ウィンターミーティング終了直後の12月9日にエンゼルスへの入団が正式発表されているように、その年の大物FA選手の動向は大抵ウィンターミーティング前後に決定していた。
しかし、'12年は12月6日にミーティングが終了していたにも関わらず、ハミルトンの契約が決まったのは1週間ほども過ぎた12月13日。さらに、ESPNで今オフのFA市場ランキングで1位だったザック・グリンキー投手(ちなみにハミルトンは同3位)もドジャース入りが発表されたのは12月10日のことだった。
これら大型FA選手の契約は、そのオフの他のFA選手の年俸指標にもなるため、交渉の遅れはどうしても全体的な契約交渉の鈍化へと繋がっていく。
大物FA選手扱いのイチロー選手、黒田博樹投手や今シーズンに好成績を残した上原浩治投手などへの影響は少ない。