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不完全燃焼でシーズン終了の斎藤隆。
満身創痍の42歳、アメリカで何を思う。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2012/10/08 08:01

不完全燃焼でシーズン終了の斎藤隆。満身創痍の42歳、アメリカで何を思う。<Number Web> photograph by Getty Images

16試合に登板し、防御率6.75、失点14、自責点9と厳しいシーズンとなった斎藤隆。ダイヤモンドバックスとは1年契約のため、来シーズン以降のことは現在のところ未定である。

捕手との意思疎通もままならず得意球を生かせなかった。

 昨年まで本人がしてきたように、マウンド上で斎藤がすべてを出し切れたのか疑問の余地が残る。結局、今シーズンの最終登板となった9月30日のカブス戦でのことだった。最後の打者(左打席)からバックドア(外角)のスライダーで見逃し三振を奪ったのだが、試合後、斎藤はこのように話してくれた。

「今年初めてバックドアで三振がとれたというか、初めてサインが出た。(この日捕手を務めた)ニエベスは去年ブルワーズで一緒だったので僕のことを知っていてくれたのもあったのでしょうが、(他の捕手は)僕がバックドア(のスライダー)を投げることを知らなかったんじゃないですかね」

 新チームに移り、しかもメジャーで投球を披露する機会も少なかった状態で、おのずと捕手との意思疎通は難しくなる。斎藤の投球が最大限に引き出されることなくシーズンを終えてしまったように感じてしまう。

自身でも理解できなかった、浮き沈みの激しい投球内容。

 その一方で、今シーズンは斎藤自身でさえ評価するのが難しい投球内容だったのも事実だ。自己最低のシーズン防御率6.75(メジャー通算防御率は2.34)が示す通り、浮き沈みの激しい内容だった。

「今年は良いときと悪いときの差が凄かった。その結果と同じように、打たれれば(メジャーで投げるのが)難しくなってきたかなと思うし、抑えるときは93マイル(時速約150キロ)とか出たりすると、まだやれるのかと思ったりもしてました。その時の結果に伴い、自分の気持ちも上がり下がりしていましたね」

 本人の言葉を聞いてもわかるように、斎藤も自分の投球に手応えを掴みきれないままシーズンが終わってしまった。

 ただチームの指示でキャンプからトレーニングやランニングを少なめにする新しいメニューを取り入れ、さらにシーズン終盤は登板機会が読めないまま闇雲に登板間隔が空いてしまうという、これまで経験したことがない調整の難しさを体験したのも考慮すべきだろう。今の時点で斎藤の投球がメジャーで通用しなくなったのかを明確に論じることは誰にもできない。

【次ページ】 「接合部分周辺を痛めてしまうのは明らかに老化現象」

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