F1ピットストップBACK NUMBER
「予選でトップ3を真剣に狙う!」
可夢偉、鈴鹿で3度目の正直なるか?
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byLAT/AFLO
posted2012/10/04 10:30
「日本グランプリに合わせてC31(ザウバーの現行マシン)へ新しい部品が搭載されます。みなさんの前で良い結果を出せる自信もあります」と語っている小林可夢偉。
「このクルマには、まだチャンスは残っている」
イギリスGPは可夢偉の11位が最高だが、これは雨となった予選Q2でチームが雨用のタイヤ選択を誤ったために、Q2落ちを喫していたことが大きく響いた結果だった。ドライコンディションであれば、イギリスGPでザウバーがトップチームと戦えるレベルにあったことは、ベルギーGPの予選結果が証明した。可夢偉が予選で自己最高位となる2位を獲得。しかも、中高速コーナーが連続するセクター2で区間最速タイムをマークしたのである。
残念ながら、レースはスタート直後に他車のアクシデントに巻き込まれて、1周目にいきなりピットインを強いられて13位完走に終わったが、レース後、可夢偉はこうコメントしていた。
「アクシデントに巻き込まれたことは悔しいけれど、これもレース。振り返ってもしょうがない。それよりも、次のチャンスをいかにつかむか。だって、スパのセクター2で速かったということは、間違いなく鈴鹿でも速いはず。このクルマには、まだチャンスは残っている」
鈴鹿との相性が良い可夢偉のドライビングスタイル。
ADVERTISEMENT
もうひとつ、鈴鹿で可夢偉の快走が見られる要因がある。それは可夢偉のドライビングスタイルとコースとの相性だ。可夢偉はどちらかというと、アンダーステア傾向のセッティングを好むドライバーである。正確に言えば、「アンダーステアを苦にしない(本人談)」ドライバーなのである。アンダーステアとは、ステアリングを切ってもクルマが曲がりづらいという状態を指す。そして、それこそが中高速コーナーを速く走るために重要なセットアップなのである(可夢偉のチームメートのセルジオ・ペレスはアンダーステアを嫌い、クルマのセッティングをオーバーステア気味にする傾向がある)。
このようにマシンが持っているポテンシャル、そしてドライビングスタイルとコースとの相性を考えると、可夢偉が鈴鹿で自己ベストリザルトを達成しても不思議はないのである。つまり、モナコで語った「優勝」も夢物語ではない。