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日本サッカーが“無敵艦隊”に連勝!
大学選抜が見せた大いなる可能性。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2012/09/23 08:01
中国で開催された2011年のユニバーシアードにおいて、日本は決勝でイギリスを破り三大会ぶりの優勝を手にした。当時流通経済大学に通っていた山村和也はその後、U-23代表として活躍した。
J2選手の半数が大卒……“プロ化”が進む大学リーグ。
それにしても日本の層の厚さは、目を見張るものがある。
U-19日本代表が参加すべき大会に、学生限定でスペインに勝利したのだ。さらに突っ込んで言えば、この20歳以下の学生選抜も決してベストメンバーではなかった。大学サッカー部の活動を優先して、長期間チームを離れることができず、招集を辞退しなければいけない選手もいるからだ。にもかかわらずスペインに勝ったのだから、いかに大学に質の高い選手が増えているかがわかるだろう。
ただし、これまでに順天堂大学で小宮山尊信(川崎フロンターレ)や田中順也(柏レイソル)を育ててきた吉村監督は満足していなかった。
「今、J2でプレーする選手の約半分が大卒になっています。大学リーグのレベルも、間違いなく毎年上がっている。ただ、アルクディア国際ユースではファイナリストになったスペインやアルゼンチンと比べて、まだまだ個の力が劣っていた。大卒選手の評価が上がっていますが、高校生より少し大人というだけでは寂しい。その次の段階として、選手たちには大学から何かひとつ持って、プロに行ってほしい」
ブラジルW杯では大学生選手が日本代表入りする!?
大学スポーツ界の世界大会であるユニバーシアードが、2013年7月にロシアのカザンで開催される。中国で開催された前大会(2011年)では、流通経済大学の山村和也(現鹿島アントラーズ)や中央大学の六平光成(清水エスパルス入団が内定)らを中心に優勝しており、連覇が期待される。
吉村監督は言う。
「ユニバーシアードは、大学選抜がA代表と同じユニフォームを着て出場できる唯一の大会。日本サッカー協会からも、ぜひ連覇してほしいと言われています。中1日で試合が続くうえに、選手村に缶詰状態になるため、選手には相当なタフさが求められますが、何としても優勝したいと思います」
2009年のユニバーシアードのメンバーから、福岡大学の永井謙佑(現名古屋グランパス)と山村が2010年南アフリカW杯のサポートメンバーに入った。大学リーグのレベルが上がっていることを考えれば、2014年ブラジルW杯の登録メンバーに入る大学生が出ても少しも不思議ではない。特にA代表の層が薄い1トップとセンターバックのポジションについては。
全日本大学選抜の強化に、より力を入れるべき時代になりつつある。