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高校生の“怪物”が北島を超えた!?
平泳ぎ・山口観弘の異常な「探究心」。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byHiroyuki Nakamura
posted2012/09/24 10:30
記録が出にくいとされる屋外プールでのレースだったことに加え、2着の選手と5秒以上離れるという、ライバル不在の中での記録樹立は異例だ。
「規格外」の「化け物」は憧れのヒーローを目指す。
環境を言い訳にせず、その中で工夫を凝らし、練習を無駄にしなかった。
悔しさをばねにした。それらの要因があいまって、「化け物かと思う」(大脇氏)、「規格外」(平井氏)と形容される今日がある。
「アスリートであるかぎりは頂点を目指さないと楽しくないです」
と言う山口は、こんな言葉も口にする。
「水泳に対して素直で、どれだけ速く強くなれるか追求していて、自分もそうですが、小さい子に夢を与えていることも尊敬しています。北島康介さんは、これからもずっと僕の中ではヒーローです」
憧れのヒーローを追いかけて、そして今度は自分が誰かのヒーローになれるように。
来春、東洋大学に進学し、平井コーチに本格的に指導を受ける予定の山口は、4年後のリオデジャネイロ五輪での頂点を視野に入れつつ、歩んでいこうとしている。