メディアウオッチングBACK NUMBER

変わらぬことに価値がある、
『プロ野球ニュース』の魅力。
~CS放送移行から10年!~ 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

PROFILE

photograph byShigeki Yamamoto

posted2010/06/05 08:00

変わらぬことに価値がある、『プロ野球ニュース』の魅力。~CS放送移行から10年!~<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

フジテレビONE、TWOにて放送。初回放送は毎日23時~生放送(フジテレビONE) ※プロ野球の試合予定がない日は前日分の再放送、もしくは放送休止となる。

 野球ファンが集まって「プロ野球ニュース」の話題で盛り上がる時、必ずと言っていいほど「『今日のホームラン』って昔から変わらなくていいよね」という話になる。10本だろうが20本だろうが、その日飛び出したホームランシーンは、番組の最後で必ずプレイバックされる。'76年の放送開始以来、とりわけ熱く支持され続けている名物コーナーである。

 '01年春に番組が地上波からCS放送に舞台を移してからも、BGMやタイトルバックも当時のまま。その理由について、制作するフジテレビスポーツ局の小林稔典プロデューサーはこう語る。

「ホームランは野球のなかで一番見ごたえのあるプレーですから、CSで放送を開始する際もこのコーナーは外せなかった。何より、視聴者は昔ながらの『プロ野球ニュース』が見たいと思っている方が多いですからね」

 現在、370万人以上もの加入者がいるCS放送フジテレビONEにおいて、「プロ野球ニュース」はキラーコンテンツとして大きな役割を担っている。

従来からのスタイルを変えないのには理由がある。

 今もなお、視聴者から愛される理由。それは、地上波時代から大切にしてきた、番組の核となる「王道」を変えないところにある。番組の体裁は変えず、昔ながらの雰囲気を守る。そして、50分の放送時間内で全試合まんべんなく、深く掘り下げて紹介することである。

「勝敗のポイントや選手のプレーから見える『1球が持つ意味』を、以前と変わらない解説陣が丁寧にコメントする。従来からのスタイルは、競技結果しか伝えなくなった地上波の番組に太刀打ちするためのプラスαの部分なのです」(同前)

 では、解説者たちはCS時代に移行してから、どのようにして野球の魅力を視聴者に伝えようとしているのか? 20年以上にわたり解説を務める谷澤健一氏と平松政次氏は、このように話してくれた。

「最近では女性や子供のファンなど、幅広い層に受け入れられるような分かりやすい解説を心がけています。例えば、バッティングが好調な選手がいれば、去年と今年のフォームを2画面で表示して細かく比較するとか。あとは、解説者同士の駆け引きも楽しんでほしい。無茶な突っ込みや丁々発止のやりとりがあってまとめるのが大変だけど、それぞれの専門家の持ち味が出てますからね」(谷澤氏)

【次ページ】 「個人的には『今日の三振』も入れてほしいよね」

1 2 NEXT

他競技の前後の記事

ページトップ