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“ポゼッション”志向は危険な賭けか?
新監督就任でリバプールが変わる! 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/08/31 10:31

“ポゼッション”志向は危険な賭けか?新監督就任でリバプールが変わる!<Number Web> photograph by AFLO

第2節マンチェスターCをホームに迎えた試合で、2-1とリードしていた終盤、DFシュクルテルのパスミスから同点に追いつかれた。ロジャーズ監督は「ボールをつなごうとする選手の方がいいんだ」と失態を擁護した。

リバプール監督就任にあたっての追い風とは?

 もちろん、追い風が期待できる要素もある。

 まず経営陣は、プレミアリーグ2年生監督の39歳に奇跡を期待してなどいない。筆頭オーナーのジョン・ウィリアム・ヘンリーを中心とする米国FSG社は、現実的で良識ある経営集団と認識されている。昨季末のダルグリッシュ解雇も、目標の4位とはほど遠い8位という不振だけでなく、ルイス・スアレスの人種差別行為を巡る一件で過度の擁護姿勢を取り、スポンサーを含む外部の心象を損ねた落ち度が加わってのことだ。

 経営陣は、2年前のクラブ買収当時から、長期的な安定を可能にする将来性の高い監督を欲してもいた。ロジャーズ就任に寄せた、「由緒あるクラブに相応しい未来に向け、敢えて選んだ道を、共に希望を胸に歩く」というヘンリーの声明文は、FSG社らしい新監督支援のメッセージだった。

 ロジャーズは、早々に主力選手の支持も得ている。リバプールの中核と言えば、キャプテンでもあるスティーブン・ジェラードだが、イングランド代表MFの持ち味の1つは、EURO2012でもチャンスを演出した、正確なロングボールやダイアゴナルパスにある。同じく地元出身のクラブ生え抜きで、副キャプテンのジェイミー・キャラガーは、リバプールDF陣の中でも代表的なロングボールの発射台だ。ショートパス志向のロジャーズにすれば、理想的な主力とは言い難い。

ポゼッション・サッカー実現のため、選手の人心を掌握。

 だが、新監督は、就任直後にプライベートで両ベテランに電話を入れ、メディア経由でも「二人はリバプールの心臓にして魂だ」と訴えかけた。これを受けて、ジェラードはEURO後の休暇中に新監督を練習場に訪ね、キャラガーは練習初日に個別のミーティングを持って、全面支持を誓っている。ポゼッション・サッカー実現には、マイボールの使い方と同等に、ロストボール後の対処が重要だ。 発言力抜群の正副両キャプテンからも号令が掛かれば、 各国代表クラスが居並ぶリバプールの面々も、執拗なプレッシングを要求する監督の指示を忠実に実行するはずだ。

 実際、変化の兆しは8月18日の開幕戦から見られた。試合結果は、アウェイゲームとはいえ、格下のウェストブロムウィッチに敗戦。スコアは0対3。だが、テレビでゲスト解説を務めたマイケル・オーウェンは、「サポーターは心配しすぎないように」と言った。元エースいわく、「前半の失点は得点者を誉めるしかないボレー。後半の2失点は微妙なレッドカードで10人になった後の出来事。運が悪かっただけさ」という結果なのだ。

【次ページ】 同じ4-2-3-1でも、より攻撃的なシステムを採用。

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