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内田篤人が開幕戦で完璧なスタート!
酒井宏樹と切磋琢磨し更なる高みへ。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2012/08/29 10:32

内田篤人が開幕戦で完璧なスタート!酒井宏樹と切磋琢磨し更なる高みへ。<Number Web> photograph by AFLO

開幕戦では、自身のファウルで与えたFKから先制点が生まれてしまったことに対して、「もったいなかった」としきりに反省していた内田。

昨季序盤の、調整不良や怪我から学んだこととは?

 昨シーズンはチーム合流が遅くなったことに加えて、コンディション調整も上手くいかなかった。8月6日の開幕戦はベンチから見つめることとなった。9月にはレギュラーポジションに手をかけたものの、ステフェンス監督が就任した直後の練習で負傷。

「あのケガは痛かった。(ステフェンス)監督も最初レギュラー組に俺を入れてくれていたから」と当時は話していたが、負傷によりレギュラー獲得が遠のき、一時はベンチ入りメンバーにすら入れないこともあった。最終的にレギュラーの座をつかむのは、年が明けたあと。昨シーズンの終盤にさしかかる3月のことだった。昨シーズンの轍を踏むわけにはいかない、と考えていたのだ。

 さらに、今季は心待ちにしていたチャンピオンズリーグが控えている。

 2シーズン前のCLでは、負傷のために出場できなかったグループステージ初戦を除いて、全ての試合で先発。チームのベスト4入りに貢献した。

「CLは楽しかった。刺激が欲しくてこっちに来たわけだから」と当時も語っていたが、今季の充実ぶりの理由もそこにある。

「やっぱり、CLがあるからさ。あれに出てぇ。CLは面白れぇもん」

ステフェンス監督の意図を、緻密に把握できるようになった。

 また、日本代表の9月のイラク戦に出場停止となったことも、現時点では結果的にプラスに働いている。勿論本人は日本代表でのプレーを強く望んでいるわけなのだが……9月の試合に出られないこともあって、8月に札幌で行なわれたベネズエラ戦にも招集されなかった。これまでは短期間の長距離移動によってコンディションを崩してしまうケースも少なくなかったが、今シーズンの開幕前にはそうしたリスクとも無縁ということになった。

 そして、もう一つ。ステフェンス監督が求めるものをしっかりと理解できるようになったことも今の状況を後押ししている。7月に行なわれた格下のチームとの練習試合では、こんなこともあった。

 力の差があって相手を押し込んでいたため、バランスを考えずに攻撃に参加しようとすれば、いくらでも前に行くことが出来た。にもかかわらず、攻め上がりを慎重に見極め、内田はむやみに前へ行こうとしなかったのだ。

 その理由について、本人はこんな風に語っていた。

「ガンガン前に行くのもそうだけど、後ろでバランスを観ながらやらないと。守備に戻るかどうかも監督はしっかり見ているからね。細かいところなんだけど、DFラインの選手はまずは、手堅くパスをつなげなければいけない。DFラインのミスを一番嫌うからね、監督は」

【次ページ】 酒井は日本代表での内田のポジションを奪えるか?

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