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マンUの新星として第2の祖国に凱旋!
ドイツ人も後押しする香川真司の夢。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/08/17 10:31
移籍以来、途中出場や本来のポジションではない位置での起用が続く香川。ファーガソンに試されているようだが、すでに2得点しており期待以上の活躍ぶりを見せている。
「ほとんどの人はシンジの夢をリスペクトしている」
ハノーファーのミルコ・スロムカ監督も、試合後に香川の名前を挙げて、こうコメントした。
「今日のカガワは抜群に良かったと思っている」
香川に対するドイツの愛は異常なほど熱い。その理由を端的に語るのは、ドルトムントに本拠地を置く『ルールナハリヒテン』紙のトロイナース記者だ。
「彼は他にはいないタイプの選手だからね」
全国紙ではなく、地方紙の記者らしく、トロイナース記者は、冷静な分析というよりも、なかば、願望を込めて、こう話した。
「やっぱり、僕なんかはドルトムントの人間だから、シンジのような選手に出て行って欲しくはなかったよ。でもね、ほとんどの人はカガワの夢をリスペクトしている。多くの人が彼の活躍を願ってるんだ。それに(一昨季終了後にドルトムントを去った)シャヒンはレアル・マドリーで、活躍することが出来ていないだろう? だからこそ、シンジがユナイテッドで活躍して、ドルトムントの選手はどこに行っても上手くやれるってことを証明してもらいたいんだよ」
香川本人も「ドルトムントをいつも応援している」。
試合後の香川はプレシーズンの対外試合を終え、手ごたえを口にした。
「もっと良いプレーが出来るし、(エバートンとの開幕戦でスタメンに名を連ねる)可能性はあると思っているので、それにトライしてやっていきたいなと思います」
ハノーファーとの試合後、マンチェスター・ユナイテッドの広報が取材を切り上げるように促すなかで、最後に食い下がったドイツのTV局『Sport1』から今季のドルトムントについて問われた香川は、少しはにかんで、こう答えた。
「ドルトムントには素晴らしい選手がいるし、ポテンシャルは本当にすごいものがあるので、僕はいつも応援していますよ」
香川が次にドイツに戻ってくるとき、どんな選手へと成長しているのだろうか。さらに大きくなって帰ってくるのではないか。そう期待させる、ユナイテッドのプレシーズン最終戦だった。