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マンUの新星として第2の祖国に凱旋!
ドイツ人も後押しする香川真司の夢。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2012/08/17 10:31
移籍以来、途中出場や本来のポジションではない位置での起用が続く香川。ファーガソンに試されているようだが、すでに2得点しており期待以上の活躍ぶりを見せている。
およそ3カ月ぶりにドイツでボールを蹴った香川真司は、相変わらずの存在感を放った。
「カガワがここでゴールを決めるのは3年連続ってことになるよ! 彼はハノーファーに来るといつも、気分よくプレーできるみたいだ。困ったもんだねぇ……」
ドイツ最大の発行部数を誇る『ビルト』紙でハノーファー番を務めるクレプス記者は、自らの担当するチームが毎年のように、香川にゴールを許す不思議なジンクスを自嘲気味に語った。'10年と'11年のブンデスリーガ、そして8月11日のプレシーズンマッチ。香川は3年連続で、ハノーファーのAWDアレナでゴールを決めた。
南アフリカから始まり、中国、ノルウェー、スウェーデンと続いたマンチェスター・ユナイテッドのワールドツアーのフィナーレをしめくくる一戦は、ドイツのハノーファーで行なわれた。ドルトムントで2連覇を果たし、昨季はクラブ史上はじめての2冠を成し遂げる原動力となった香川真司が、第2の祖国であるドイツに凱旋したのだ。
マンUの香川はドイツではどう評価されているのか?
香川はユナイテッドに加わってから、これまでトップ下の位置(2トップの下がり目)で起用され続けてきたが、「いきなりだった」という言葉通り、この試合ではもう1列下がった4-4-2のセンターハーフとして先発を果たした。練習でもほとんどプレーしていないポジションだ。
慣れないポジションを務めたことで、守備ではプレッシャーをかけるタイミングに戸惑いを見せ、攻撃ではパスを散らす際に何度かミスを犯した。だが、普段よりも低い位置にいながらも、ゴールを決めようと何度も前に出て行き、シュートを放った。後半28分からはポジションを上げ、ルーニーと縦に並ぶ2トップを組み、自身の得意とするトップ下に近いポジションでプレーすると、チャンスに絡んでいった。そして後半40分、ルーニーが頭で流したボールをダイレクトで蹴り込み、決勝ゴールを決めて、4-3でチームを逆転勝利に導いた。
果たして、マンチェスター・ユナイテッドの一員としての香川は、昨季まで彼に熱い眼差しを注いでいたドイツ人たちの目にどう映ったのだろうか。