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“サプライズOA枠”扱いの徳永悠平。
その秘めたる才能と、これまでの道程。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byAsami Enomoto
posted2012/07/14 08:02
7月11日のニュージーランド戦では左サイドバックで先発フル出場し、攻守にわたって活躍。2004年のアテネ五輪出場経験もあり、28歳最年長としてプレー以外の面でも関塚監督の期待は大きい。
“将来の日本のSBを背負うはずだった男”徳永悠平。
FC東京で徳永とともにプレーした“ミスター東京”の藤山竜仁氏(現在、FC東京普及部コーチ)は徳永をよく知る一人だ。類稀な才能を買い、ずっと期待を抱いてきた。
「徳永については対人の強さをよく言われますけど、アイツはボールを持つ姿勢が凄くいいんです。だから相手に強く当たられてもバランスを崩さない。そして姿勢がいいということは視野が広い。周りがよく見えるので、FC東京ではボランチでも使われてきました。パフォーマンスにあんまりムラがないし、自分の役割をきっちりとこなすから監督にとっては計算の立つプレーヤーだと言えます。
でも何故か、代表ではなかなか結果を残せない。昔、代表の加地(亮)から右サイドバックのポジションを奪って、将来の日本のサイドバックを背負うのは徳永だと思っていた人は多い。対人に強いし、ボールも蹴れるし、視野も広い。だけど代表でのサイドバック争いに加われない。やっぱりそこは足りないものがあるからだと思うんです」
これまでの徳永に足りなかったのは「チャレンジ」。
徳永にとって足りないもの――。
それを藤山に尋ねると、「これは個人的な意見ですが」と前置きしたうえで「チャレンジ」だと言った。
「自分もサイドバックだったから思うんですけど、勝負するところではもっと前に出ていってもいい。徳永はそこまで壊してまで行くタイプじゃないし、そういうスタイルでずっとやってきた。自分を持っているし、ブレないところは凄いと思う。だけど長友を見ていても、指示を守ったうえでチャンスがあったら前に出ていくじゃないですか。勝負してやろうってチャレンジするじゃないですか。徳永は攻撃力を持っています。だからこそ余計にもったいなく感じています。
この五輪ではチャレンジしてもらって守備だけでなく、アイツの攻撃的なポテンシャルを発揮してもらいたい。そうすればA代表のサイドバック争いに加わっていくと僕は期待しています」