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'12-'13シーズンの覇権を左右する、
バイエルンが獲得した新戦力たち。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byMasashi Hara
posted2012/07/05 10:30
EUROではグループリーグ敗退も3得点と活躍したマリオ・マンジュキッチ。左肩にスーパーマリオ、右腕には漢字のタトゥーあり。
EUROで期待を集めたドイツだったが失意の準決勝敗退で終り、大会はスペインの優勝で幕を閉じた。ドイツ人の関心は来るべき2012-2013シーズンに向かっている。
注目は、やはりバイエルンが覇権を取り戻せるかどうか。昨季は、CL、リーグ、ドイツカップのすべてで準優勝に終わった。とりわけ、2年連続でドルトムントに譲ることになったマイスターシャーレの奪還は、至上命令だ。1989-1990シーズンの後に3シーズンにわたってタイトルを逃して以降、3年連続でマイスターシャーレを掲げられなかったことはないのだ。バイエルン関係者は「バイエルンにとって最も優先すべきなのは、リーグのタイトルだ」と毎年、口にする。
優勝争いのライバルとなるドルトムントは攻撃の中心だった香川が抜けたものの、ボルシアMGのエースだったロイスを筆頭に、ブラジル人とドイツ人のハーフでドイツの年代別代表に選ばれているビッテンコート、オーストラリアからやってくる19歳の新星アミニなど前線の選手を補強しており、大きく戦力を落とすことはないだろう。昨季はリーグ新記録となる勝ち点81を積みあげたチームだけに、容易に倒せる相手ではない。
万全の戦力補強でタイトル奪還の布石は着々と。
それでも、タイトル奪還にむけ、バイエルンは着々と手を打っている。
昨季、盤石とは言えなかったセンターバックには、ダンテを獲得した。昨季はバイエルンに次ぐ24失点で堅守を誇ったボルシアMGのDFリーダーの加入はチームの守備を一段上のレベルに上げてくれるだろう。攻撃時のセットプレーでは得点源としても期待できる。
「僕はタイトルを手にするために、バイエルンに行くんだ。リーグとドイツカップの両方をミュンヘンに取り戻してみせるよ」
本人も、意気揚々と話している。バイエルンからは13名もの選手がEUROに出場しており、その疲労も懸念されているが、このブラジル人センターバックにはそんな心配はいらない。約4億5千万円の低価格で獲得したことも含め、今オフ最大の収穫だろう。
もちろん、ペテルセンとオリッチの抜けたフォワードの補強にも抜かりはない。かつてバイエルンに所属し、昨季まではブレーメンでエースとして活躍したピサロを獲得した。ブンデスリーガでプレーした外国人選手としては歴代最多となる160ゴールを決めているベテランフォワードは、確実に計算のできる戦力だ。