黄金世代、夢の行方BACK NUMBER
なぜ加地亮は代表を引退したのか?
消えぬ情熱とブラジルW杯への夢。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakamoto Tokuhara/AFLO
posted2010/05/17 10:30
日本代表の引退発表後、その言葉どおりガンバ大阪でACL優勝を果たし、クラブワールドカップでも活躍した
南アには行けなくとも、ブラジルまで諦めたわけではない。
期待された4月7日、セルビア戦に招集されることはなかった。5月10日に発表された南アフリカW杯メンバー23名枠にも彼の名前はなかった。最後まで加地待望論は根強く残っていたが、ついに叶うことはなかったのである。
「南アフリカW杯は、ガンバのグアム・キャンプ中やからね。時差もあるし、現地で見られるかどうかも分からない。けど、見れたらヤットと日本を応援するよ。4年前は1つも勝てんかったから。俺自身はそうやねぇ……30歳になったけど、ガンバで仕事して、優勝したい。次のW杯は、ブラジルでしょ。面白そうやね。その時は34歳になるけど、そこに行くためには、これから選手としての真価が問われると思うんで、まぁ見ててほしいなと思いますね」
加地は、意味深に笑った。
W杯は、南アフリカ大会で終わるわけではない。加地にとっては、4年後にブラジル大会を目指せるほどの力を貯え、証明できるかどうかの方が目先のW杯よりも重要なことになったのだろう。自らの成長、そして家族を養うために、まだまだ仕事は止められない。