青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
世界を驚嘆させた「58」の偉業。
やはり石川遼からは目が離せない!
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKYODO
posted2010/05/16 08:00
18ホールでの世界主要ツアー最少スコアは米国ツアーで59、欧州ツアーが60。ちなみに、丸山茂樹は、2000年の全米オープン選手権の米国での最終予選(ツアー大会ではない)で58を記録している
石川は忘れた頃に驚愕のパフォーマンスを見せつける。
石川遼は忘れた頃にやってくる、というのはこれまでに何度も感じてきたことだ。
アマチュア時代の2007年には、日本オープンで予選落ちすると次の大会でも最下位の100位に沈んだ。「やっぱり優勝はマグレだったのかな」という雰囲気が漂い始めたら、世界の強豪が集った三井住友VISA太平洋マスターズで初日9位につけ、少数精鋭で行われる最終戦の日本シリーズJTカップでも3位発進というパフォーマンスを見せた。
プロ1年目の2008年もシーズン序盤に4戦連続予選落ちを喫し、秋にはホスト大会3戦連続予選落ちを味わった。「プロ転向は時期尚早だったんじゃないか」とささやく声を、直後の日本オープン2位で沈黙させると、2週間後にはプロとしてのツアー初優勝を勝ち取ったのである。
昨年も序盤戦はトップ10にも食い込めないまま、6月の日本プロではいいところなく予選落ちした。「2年目のジンクスか」なんて声が聞こえ始めたら、その2週間後の試合でシーズン初優勝を飾って賞金王まで駆け上がってしまった。
結果のでない“潜伏期間”は大きなことをしでかす前兆だ。
もちろんこれは単なる偶然ではない。今季国内開幕戦での予選落ちは、米国遠征での経験を基にスイング改造に取り組み始めたことが原因の1つだった。練習でまいた種が試合で花開くまでは時間がかかるもの。成功体験に安穏としないで試行錯誤を繰り返すからこそ、一時的に結果の出ない潜伏期間が生まれるのだ。
女子プロの古閑美保が「開幕戦で予選落ちしてたのに、あの子は何やるか分からないんですよね。だから面白いと思う」と石川について話していたが、まさにその通りだと思う。
なんだか最近の遼くんはおとなしいなあ、あんまり話題を聞かないなあ、なんて感じたら、そんな時こそ石川の一挙手一投足に注目すべきかもしれない。それは何か大きなことをしでかす前触れになっているはずなのだ。