野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
「働け!」「仕事しろ!」の集中砲火。
阪神・新井貴浩という異能選手。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNanae Suzuki
posted2012/05/30 10:31
とにかくチームのために献身的にプレーを続ける新井貴浩。プロ野球選手会の会長として統一球問題に積極的に取り組んだりと……本当にイイ人なのです。「僕たちは優勝を目指しているわけだから」と語るなど、まだまだ諦めずチーム浮上を目指す!
ファンの期待を背に受けて……今日も働け、新井!
嶋野さんも同じようなことを言う。
「新井を7番8番にしろ、スタメンから外せという声も聞こえてきますけど、金本を4番にしても、何故かチャンスは新井のところに回ってくる。結局、新井はそういう星の下に生まれているんやないかな。その中で結果が出なければどうしても厳しい声は多くなるだろうけど、結果を残せば新井様ってなるわけやからね。新井がちゃんと結果を残せば、チームも自然と上がっていくやろうし、せめて3回に1回ぐらいはみんなの期待に応えるような仕事をしてくれれば、ありがたいんやけどなぁ……」
今年の開幕シリーズでは決勝タイムリーを放ち、和田監督に「新井が打てば勝てるんです」と言わしめた新井。誰もが認める必要なバッターだからこそ、その成績如何が現在不調に苦しむタイガースの浮上に大きく関わってくることは間違いない。
そして、新井の持つ特異なキャラクター。良くも悪くも数字で測れない、愛憎入り乱れる“何か言わずにはいられない感”は、選手に色がないと言われて久しい現在の野球界において、より一層貴重に思えてならない。
今日も明日もその先も、大観衆のヤキモキとヤジという名の期待を受けて、新井はチャンスで打席に立つ。
イメージ通りの併殺打か、三振か。それともファンを狂喜させる結果を残してくれるのか。
頑張れ新井! そして今日も働け、新井!