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ビジャレアル、まさかの降格。
リーガの優等生を襲った悲劇とは。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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photograph byMARCA MEDIA/AFLO

posted2012/05/17 10:31

ビジャレアル、まさかの降格。リーガの優等生を襲った悲劇とは。<Number Web> photograph by MARCA MEDIA/AFLO

降格が決まり、スタジアムの外で打ちひしがれるビジャレアルサポーター。

模範的な経営……右肩上がりの成長を続けてきた12年。

 バレンシア州カステジョン県にある、人口僅か5万人ちょっとの小さな町ビジャレアル。この町を本拠地とするビジャレアルCFは、'90年代半ばまで2部の下位をさまようセミプロのようなクラブだった。

 そんなクラブを1997年に買収したロイグは、僅か数年のうちにチームを国内屈指の強豪へと豹変させた。

 '99/'00シーズンの昇格と共に1部定着を果たし、マヌエル・ペジェグリーニ監督を招へいした'04年以降に全盛期を迎えたチームは、バルセロナも顔負けの華麗なパスサッカーをもってCL準決勝進出('05/'06)、クラブ史上初の国内リーグ2位('07/'08)といった成功を収めてきた。

 並行して総合練習施設の建設、ポゼッションサッカーの一貫教育を導入したカンテラの組織整備など育成クラブとしての地盤を固めつつ、大蔵省への負債を1ユーロも作らない数少ないクラブとして健全経営を全う。不況の煽りで予算の縮小を強いられた昨季は主力選手を多数放出しながら、Bチームから引き上げた9人のカンテラーノを積極起用してリーガで4位、ヨーロッパリーグで準決勝進出という快挙を成し遂げた。

 フロントは筋が通った健全経営を貫き、チームは魅力的な攻撃サッカーで結果を出し続けてきた。右肩上がりの成長が10年以上も続いてきたからこそ、彼らは突如訪れた悪夢のようなシーズンに対応できなかったのかもしれない。

 降格決定から数分後、エル・マドリガルのピッチに姿を現したロイグは、スタンドのファンからブーイングではなく拍手で迎えられた。それはロイグが今季の失敗以上に多くの成功をクラブにもたらしてきたことを表していた。

年間予算60%減、主力の引き抜き、Bチームの3部降格――。

 しかし、これから彼らが直面する現実は甘くない。

 これまで得ていた約3000万ユーロのテレビ放映権料を失ったことで、来季の年間予算は6000万ユーロ超から2500~3000万ユーロに削減される。そしてそうなれば当然、年俸の高い主力選手を維持することは難しくなる。来年2月まで離脱が続くロッシはともかく、ニウマール、ボルハ・バレロ、ブルーノ・ソリアーノ、カニ、ディエゴ・ロペスら買い手がつきそうな選手の放出は避けられないだろう。

 またトップチームの降格に伴い、同一カテゴリーへの所属が許されないBチームも2部から3部への自動降格を強いられた。近年はレベルの高い2部で戦うBチームがカンテラーノを即戦力に育てる土壌となってきただけに、これは大きな痛手となる。

【次ページ】 「この降格はビジャレアル再生の糧となる」

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