青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
世界の女子選手をも魅了する、
石川遼の“奇跡の一打”。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKYODO/Mami Yamada/Shiro Miyake
posted2010/05/02 08:00
申智愛(左)も諸見里しのぶ(右)も石川遼の「スター性」に注目する。プレーだけでなくファンやギャラリーのことをここまで考えるプロスポーツも、珍しいかもしれない
女子のトッププロたちが目にした石川のミラクルショット。
有村の昨年の急成長と今季の好調ぶりは、そのあたりの責任感と対抗心によるものかもしれない。オフにはテレビマッチなどで石川と共演することも多く、ゴルファーとしての凄みに触れる機会もあった。
年末に行ったテレビマッチでのこと。ロングホールで2打目はエッジまで260ヤード、ピンまで285ヤード。やや右ドッグレッグながら、打ち上げのショットになる。距離もあって難しい状況で、石川は平然とチャレンジングなショットを放ち、しかも鮮やかに2オンに成功してしまったのだった。
それを見た有村は一緒に出演していた上田桃子とささやき合った。
「奇跡に近いようなショットを何回も見せるけど、いつもいいショットをしてるから、高い確率でああいうことができる。ああいうショットをしてもおかしくない練習をしてるんだろうね」
アグレッシブなプレーに有村たちも強く惹かれている。
練習に裏打ちされたミラクルショット。それがファンの心をつかむ。有村は遼人気の秘密を見た気がした。同じことは米ツアーを主戦場にしている宮里美香も口にしている。
07年の世界ジュニアには石川と一緒に参加し、現在も同じマネージメント会社に所属している。アマチュア時代から石川を知る宮里は、ギャラリーへのアピール度の高いプレーを最大の長所に挙げた。
「プロになってすごく魅せるプレーをするようになったと思う。昔からアグレッシブではあったけど、それでお客さんを楽しませることができるのが凄い。それはわたしも目標にしていることなので」
勝敗のみならず、ファンを楽しませてこそのプロ。男子であっても、女子であっても、そこは変わらない。自らもそうありたいと願う女子プロたちにとっては、ファンを魅了するプレーぶりこそがもっとも輝きを放って見えるのだろう。
世界No.1の女子プロゴルファーも石川を意識する。
世界の女子ゴルフ界を席巻している韓国女子プロたちも石川のことはよくご存じだ。
開幕戦を制したアン・ソンジュなどは「1勝したら遼くんに会わせてね」とマネージャーと約束し、それをモチベーションにもしていた。残念ながらその願いはまだ実現していないが、なんともほほえましい話ではある。
世界No.1の女子プロゴルファーも石川のことを「よく知ってますよ」と笑顔で語ってくれた。ワールドランク1位のロレーナ・オチョアが引退を表明し、事実上の世界最高プレーヤーとなった申智愛(シン・ジエ)。4月のマスターズでは会場で石川のプレーも観戦した。
「遼くんの凄いところはいつも自信にあふれてプレーしているところ。いつも笑顔で、自信のある表情をしていて、それが武器になっている。いつか必ず会ってみたいし、一緒にプレーできるのを楽しみにしています」
女子ツアーに遅れること1カ月。男子の国内ツアーも開幕し、いよいよ本格的なゴルフシーズンに突入した。今季も石川が大きな注目を集めることは間違いないが、熱視線を注いでいるのはコースロープの外にいる女性ファンばかりではないようだ。