青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
特別招待でのマスターズだが……。
石川遼への米マスコミの反応は?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAP/AFLO
posted2012/03/17 08:01
プエルトリコ・オープンを通算14アンダー、米ツアー自己最高の単独2位で終えた石川遼。アジアを背負った戦いをマスターズでも見せられるのか、注目が集まっている。
「米国のゴルフ関係者はリョウの豊かな才能を理解」
「米国のゴルフ関係者はみんなリョウの豊かな才能を理解しているよ。去年は震災の被災者のために獲得賞金の全額を寄付したことも多くのファンが知っている。もちろんマスターズのアジア戦略もね。だから、たとえ反対の声があったとしてもそれは決して多くはないはずだ。少なくとも自分はおかしいとは思っていない」
そう話してくれたのは米国のスポーツ中継に20年近く携わり、2008年からはゴルフ専門局「ゴルフチャンネル」のレポーターを務めるスコット・ウォーカー氏である。
同じくゴルフチャンネルのレポーターを務めるフィル・ブラックマーもウォーカー氏の意見に同調する。2mを超える長身で知られるブラックマーは米ツアーで3勝を挙げ、現在はシニアツアーで活躍している現役プレーヤーである。
「リョウの能力の高さはみんなが分かっている。去年のマスターズではいいプレーをしていたし、日本のために去年彼がしたことも知っている。自力で出ることも大事だが、それ以前にマスターズは出られるだけでもすごく価値のある大会なんだ。だってそうだろう。出ないでいるよりも出た方が学べることは山ほどあるんだから」
自らも2度のマスターズ出場経験のあるブラックマーだからこそ、形はどうあれオーガスタに出られることの意義を強調した。
アーニー・エルスでさえまだ出場権を獲得していないのに……。
しかし、現時点で今年の出場資格がないということであれば、何度もグリーンジャケットをつかみかけたアーニー・エルス(南アフリカ)のような選手も残っている。石川がよくてエルスがダメ。この線引きはどうなるのか。
ブラックマーはこう説明した。
「アーニーとリョウでは立っているステージが違うからだ。リョウはこれからの選手でアーニーは下り坂にいる選手。だからリョウだけが呼ばれたって不思議に思うことはない」
米ツアーに深く関わる大手マネジメント会社のあるスタッフも同じような意見を口にした。多くの米国ゴルフ関係者にとって石川の招待は“特別”なものとは映ってないようだ。ただし、彼はこうも付け加えた。
「日本でいろんな意見があることも理解はできる。一番いいのはリョウがマスターズまでに出場予定の3試合で世界ランクの50位以内に入ることだろうね。米国人もそれならみんな納得するよ」