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誰の執念が一番凄かったのか?
マラソン女子五輪代表、最後の暗闘。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byHiroyuki Nakamura

posted2012/03/15 10:30

誰の執念が一番凄かったのか?マラソン女子五輪代表、最後の暗闘。<Number Web> photograph by Hiroyuki Nakamura

35km付近でロシアのマヨロワが後方から追い上げ先頭におどり出るも、「日本人トップを意識していた」という尾崎好美。中里麗美との競り合いが続くなか、残り700mでラストスパートをしかけ、見事2位でフィニッシュした。翌12日の五輪代表選考会では、この結果が評価され重友梨佐、木崎良子に次ぐ3人目の代表選手に選ばれた。

 壮絶なレースだった。

 3月11日、ロンドン五輪のマラソン女子の代表選考大会、名古屋ウィメンズマラソンが行なわれた。最後の選考レースとなった今大会には、そうそうたる顔ぶれがそろった。

 昨夏の世界選手権で日本選手最上位の5位入賞を果たした赤羽有紀子をはじめ、尾崎好美、中里麗美、伊藤舞と、世界選手権日本代表5人中4名が出場。さらに2時間19分台の自己記録を持つ渋井陽子、そして野口みずきである。

 大会前から、熾烈な戦いになると予想されていたレースは、そのとおりの様相を呈する。

 スタート後、20人前後の大集団が形成されたレースは、距離が進むごとに遅れる選手が現れ、集団が徐々に小さくなっていく。

 有力選手たちも、食らいついていた。一度は遅れかけた赤羽もすぐに集団に追いつき、野口も17km過ぎに遅れ始めたが、再び追いついていく。

 誰が日本選手のトップに立つのか。大きな動きがあったのは、34kmからだった。赤羽が前に出たところで、尾崎や中里らも一緒に出て、再び集団を形成する。

 その集団から、赤羽が遅れる。35km過ぎに後方から一気にトップに立ったアルビナ・マヨロワ(ロシア)のあと、日本勢のトップ争いは、尾崎と中里に絞られた。

「優勝したかったですけど、最低でも日本人1位に入りたかった」

 両者の競り合いは、40kmを過ぎても続く。だが、ゴールのナゴヤドームが見えたところで、尾崎がスパート。中里を振り切って、優勝したマヨロワに続く2位、日本選手トップでゴールした。タイムは2時間24分14秒だった。

「優勝したかったですけど、最低でも日本人1位に入りたかったので、よかったです」

 と、喜びを露わにした尾崎は、レースをこう振り返った。

「豪華なメンバーなので緊張感はありましたが、不思議なくらい、落ち着いてレースができていました」

【次ページ】 昨年11月には自らがゴール手前で抜かれていた尾崎。

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