青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
海外メディアは石川遼に半信半疑!?
マスターズで“本物”の存在へ。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byUS PGA TOUR
posted2010/04/04 08:00
アーノルド・パーマー招待の大会直前に行われた表紙撮影。最初は世界最大のゴルフ雑誌「ゴルフダイジェスト」に掲載されると言われていたが、姉妹誌の「ゴルフワールド」誌であった
2月18日付のアリゾナ・デイリースター紙は、アクセンチュア・マッチプレー選手権で1回戦を突破した石川遼を大きく取り上げてこう書いた。
「ロックスターのような雰囲気を漂わせてコースを闊歩する。しかし、石川は単なるHypeでは終わらない選手だ」
Hypeとは「誇大広告」とか「いんちき」といった意味をもつ言葉である。ある関係者は「米国の人間と石川遼について話していると、何度も出てくるのがその単語なんですよ」と苦笑いしていた。
ただのHypeではない実力がある、と強調する記事も、裏返せば米ゴルフ界から見た石川はまだまだ懐疑的な存在であるということに他ならない。
海外メディアの反応で知る石川の期待値と評価の乖離。
確かに2009年にはマスターズ、全英オープン、全米プロと3つのメジャーに出場し、世界選抜の一員としてプレジデンツ・カップにも出場した。世界のトッププロたちとも顔見知りになって、海外での足場を築き始めたのは間違いない。一方で誰もが認める決定的なインパクトを残すにはいたってないのが実情である。存在を認知されるのと実力を評価されるのは別なのだとも言えるのだろう。
アクセンチュア・マッチプレー選手権の2週前、ノーザン・トラスト・オープンでそれを象徴する出来事があった。
米ツアー側が練習日に石川の会見を設定したものの、会見場に集まったのは日本人ばかり。外国人記者の姿は皆無だったのである。通訳も用意されていたが、そんなものが必要になることもなく、いつも通りに日本語での質疑応答が行われたのだった。
前年は日本のヤングスターの米ツアー初挑戦とあって海外メディアの姿もあったのだが、そうした話題性の薄れた2回目は米メディアの関心もその程度に静まっており、会見をセットしたツアー側も完全にアテが外れた格好となった。
海外のライバルたちは次々と実績をあげている。
Ryo,Rory,Rickie。今季の活躍が期待されている若手の“3R”で比較してみても、海外での実績で石川はまだ2人に及ばない。
北アイルランド出身の20歳、ローリー・マキロイはすでにメジャーでも十分な実績を残しており、ネクスト・タイガーを担う1人として真っ先に名の挙がる存在だ。米国待望のニューカマーとして昨年末から頭角を現し始めた21歳のリッキー・ファウラーにしても、今季すでに2度の優勝争いを演じて潜在能力の高さを証明している。
石川は2人よりも年下で経験は浅いとはいえ、3月の遠征ではトランジションズ選手権で140位の予選落ち、アーノルド・パーマー招待は40位。本人の満足度は別にして、日本での華々しい触れ込みを聞いている人たちの期待値はもう少し高いのだろう。