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J・バトンが“災い転じて福となす”。
接触と早すぎたタイヤ交換で優勝!?
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byHiroshi Kaneko
posted2010/03/29 13:10
もし1周目でバトンがアロンソに接触していなかったら?
かくしてバトンのギャンブルが大当たりしたシーズン2戦目だったが、よくよく考えると、この波乱は1コーナーでアロンソとバトンが当ったことに端を発している。
アロンソとバトンのどちらにミスがあったかは別として、1周目でバトンのタイヤがアロンソのマシンに接触していなければ、バトンのタイヤ交換の早すぎる決心もどうなっていたか分からない。なんのことはない、バトンは自分の撒いた種(接触事故)で本当は悪い運命となるはずだったレースを、ちゃっかり自分に良いほうの運命(絶妙なタイミングでのタイヤ交換)として刈り取ったようなものなのである。またセーフティカーの出動もバトンに有利に働いたことは間違いない。そして、ベッテルの故障に、ライバルたちの潰し合い……。
「災い転じて福となす」を地で行ったようなバトンの勝利。しかし、勝負事というものは、こんなことをきっかけに思いもかけない方向に転がっていくものなのだ。
金曜日の夜、ハミルトンはサーキットからの帰りのメルボルン市内で、調子に乗って暴走行為(“バーンアウト”と呼ばれる過激なホイールスピン!)をしでかし、一時警察に拘束されることになった。ハミルトンが決勝でバトンより1回多いタイヤ交換に足を引っ張られ、大暴れの末に結局6位で終わったのも、案外そんなところに原因があったのかもしれない。
1週間後のマレーシアGPでは、アロンソ、バトンに続く3人目のウイナーが生まれるのだろうか? そして誰に、どんな運・不運が待ち受けているのだろうか?