自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
スズメとツーキニストは越冬準備を!
「防寒」ではなく「臨機応変」が肝要。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2011/11/22 06:00
あるツーキニストの冬の風景(於:オシャレな六本木)。ダンディな黒のジャケットがなかなか渋く決まってますね。大きめのLEDテールランプが、日の入りが早い冬の夜にも大いに役立っております
漕ぎ出しの「うーっ、寒い!」をどう乗り越えるか?
体温を維持するために、我々は常にカロリーを使っているわけだけど、その部分の「基礎代謝」が、冬場は10%増えるのだという。
そして、基礎代謝の上がった身体は、より容易にカロリーを燃やし、つまりはスムーズにパワーを得るのが可能になるという。
ふーむ、悪くない。少なくとも1割余計にご飯を食べても大丈夫で、それ以上に身体はカロリーを燃やすということなのだ(ホントか?)。
さらにいうと、冬の空気だ。
都心でいっても、やはり夏に較べて冬の方が空気が澄んでいる。風向きが原因なのか、それともクルマがエアコンを使わなくなることが理由か(その分ガソリンの燃焼が減る)、とにかく、夏場よりも空気がいい。空気がいいと、肺の奥まで酸素が摂取できるという心持ちになるし、その肺自体が、熱を調整するラジエーターになってくれるような気がする。
悪くないよ、冬。
漕ぎ出しの「うーっ、寒い! 自転車に乗るのが億劫だな」というあの一瞬。あの一瞬だけ乗り越えることができれば、の話なのだ。
とにかく……脚をペダルに載せるだけでOKなのだ!
確かにイメージとしてはね、寒いと自転車に乗るのはイヤになるよ。最初の漕ぎ出しが億劫でね。
うー、さむさむさむ、こんなに寒いのに自転車乗るのー? 北風吹いてくるよー? 体温奪われる……、と、毎回そう思う。
自転車通勤、すでに15年目の私(つまりこの冬は自転車通勤15回目の冬だ)にしても、やはり漕ぎ出しにはそう思うのだ。
乗って5分も過ぎると、爽やか、気持ちいい、快適、そして「やっぱり乗ってよかった」になることは分かっちゃいる。分かっちゃいるのに、これは困ったことだが、毎度そうなのだ。その際の気持ちをどう持っていくかが、冬を乗り切るカギになってくる。
「撫でるように」ペダルを踏む。
私にいわせると、こう“思う”ことこそが極意だ。力なんて要らない。ペダルには足を載っけるだけ。歩くよりも少しだけ速いスピードで。力をいれない。無理をしない。それで行こう、と、思う。その程度ならできるだろう、という気になる。少なくとも歩くよりは楽だ。サドルに座れるんだし。とね。無理矢理そう思い込む。この心構えだ。ま、心構えというだけでなく、実際そうだし、そう思えば、乗ってもいいかなという気になれる。
ところが、いったん乗ってしまうと、おやおや、意外にも、それだけで自転車は進むものなんだね。元来、ちょっとグレードの高い(とは言っても5万円以上程度)スポーツ自転車は、ペダルに足を載せるだけで自転車自身が走ってくれる、という感じがあるし、乗り手はそこにちょっと力を貸すだけ、だ。
これは「感じ」だけでなく、実際にもそうで、我々の脚は片方7kg程度あるから、それを交互に載せるだけで(つまり片方の脚を常に引き上げるだけで)自転車は前に進むのだ。