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出雲の東洋大か全日本の駒大か?
見えてきた、箱根駅伝優勝への戦略。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byJun Tsukida/AFLO SPORT

posted2011/11/15 10:30

出雲の東洋大か全日本の駒大か?見えてきた、箱根駅伝優勝への戦略。<Number Web> photograph by Jun Tsukida/AFLO SPORT

全日本大学駅伝で、3年ぶり9度目の優勝を果たした駒大・大八木弘明監督。駒大は2区で首位に立つとその後はほぼ独走となり、東洋大で最終区を走った“新・山の神”柏原竜二の猛追をもしのぎ見事優勝を成し遂げた

箱根で勝つには序盤で流れを作ることが必須となった。

 駒大の7、8番手の選手が好走したのも序盤でいい流れを作ることが出来たからだ。

 ライバルと目された東洋大は1区、2区双子の設楽兄弟を起用したが、2区で設楽悠太が駒大の村山に終盤に離され、3区以降のランナーがリズムをつかむことができず、引き離される結果となった。

 早大は1区で1年生の山本修平が、腹痛に悩まされ12位と出遅れてしまったのがすべて。2区の大迫傑(彼もロンドン・オリンピックを狙える資質を備えている)が遅れを取り戻そうと前半から突っ込んで入り、後半失速してしまったが、もう少しいい位置でタスキをもらっていれば展開は変わっただろう。

 この傾向から、箱根で勝つための要素が見えてくる。

 要は序盤、特に1区の走者が流れを作り、2区、3区で上位で戦えるポジションにつける。これが必須条件だ。

 出雲では駒大が1区でミス、全日本では早大が同じく1区で手痛いミスを犯してしまった。流れに乗った実力校を追いかけるのはむずかしいので、今回の箱根は例年以上に1区が重要になる。その流れを維持して、復路に控えるチームの9番手、10番手の選手が実力通りの走りを見せられれば優勝が近づいてくる。

あらゆる策をひっくり返す能力を持つのが、柏原竜二だ。

 しかしたったひとり、自分だけの力ですべてをひっくり返す能力を持つ選手がいる。東洋大の柏原竜二だ。

 1年生の時は4分58秒差をひっくり返し、過去3年間、すべて山中での首位交代劇を演出してきた。彼の山登りの能力だけは常識外なので、いろいろな理論、計算もかすんでしまう。今回も1時間17分台、あるいは夢の1時間16分台突入もあり得る。

 本命の駒大としては、4区までに東洋大とは3分程度の貯金を作りたいだろう。そして5区を1時間20分台でまとめれば、少なくとも東洋大の姿が見える範囲で復路がスタートできる。

 駒大の隠し財産は、2年連続6区で区間賞を獲得した山下りのスペシャリスト、千葉健太が控えていることだ。彼は全日本も走っておらず、現状では9番手以降の扱いになるが、彼の山下りは計算が立つ。

 今年の優勝を左右するのは、1区の流れ、山のスペシャリスト、そして復路を走るであろう9番手、10番手の選手だ。

 駒大の層の厚さは抜群だが、柏原の箱根ラストランは鬼気迫るものがあるだろう。早大も決して諦めてはいない。

 あと1カ月半、各陣営の最後の追い込みが始まる。

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