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10球団が虎視眈々の「1億ドル」案件、
ダルビッシュ有を獲得する球団は!?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/10/31 10:30
「(10月18日の夜、ツイッターにて)メジャー挑戦決定! みたいな記事出てますがウソです! 現時点では何も決まってないですから」と、騒ぎたてるスポーツメディアに対し不快感をあらわにしたダルビッシュ。スター選手の辛いところではあるが……
ダルビッシュの予算は「1億ドル」規模の超大型案件。
球団側として問題になってくるのは、「獲得予算」である。
参考になるのは松坂大輔のケースで、レッドソックスは交渉権獲得のためにおよそ5100万ドルを投資し、さらに6年間で5200万ドルの契約を結んだ。つまり松坂は「1億ドル」、超円高の現在のレートで計算しても80億円ほどの案件だった。
ダルビッシュの評価は松坂より高い。
上背もあり、中4日にも十分に対応できる能力を持っていると評価されている(日本人先発投手は肉体的というより、精神的に中4日での登板にアジャストメントしていない、とアメリカのスカウトは見ている)。松坂が苦しんだコントロールも不安は少ないと見られている。
ただし、松坂が期待されたような活躍ができていないので、ポスティングについては値が抑えられるのではないか、というのがアメリカのメディアの見方だ。匿名のエージェントの予測では、
「ポスティング・フィーは3000万ドルから5500万ドルの間で、4500万ドル程度が平均値と見られる。契約期間は5年、もしくは6年、年俸総額は7200万ドル以上」
と見積もっている。
松坂と同様、やはり「1億ドル」案件なのだ。
獲得に積極的なのはブルージェイズとレンジャーズか!?
毎年のことだが、これだけの予算を使える球団は限られており、当然、予算の潤沢な大都市の球団が有利になってくる。
しかしヤンキース、レッドソックスとも日本人投手の獲得では失敗した経験を持っており、ダルビッシュ獲得に関して言えば、いまひとつ積極的ではないと見られている。
積極的なアプローチを仕掛けてきそうな球団は、ブルージェイズとレンジャーズだ。
ブルージェイズはヤンキース、レッドソックス、レイズの3強の陰に隠れた形になっており、なんとかブレイクスルーしたい。その救世主としてダルビッシュに期待してもおかしくはない。