野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
横浜モバゲーベイスターズ誕生前夜?
ファンの本音を聞いてみた――。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/10/26 13:50
シーズン最終戦。9回裏に代打でバッターボックスに立った長野が逆転サヨナラ満塁ホームランを放った……茫然とする横浜ベンチ
「地域をつなぎ、家族をつなぐ球団へ」(加地社長)。
ベイスターズはダメなチームではない。球史に残る惨敗をしているかもしれないが、魅力がないチームじゃない。そう言ってくれるオーナーがいてくれたら……例えば、一昨年TBSの依頼で球団社長に就任した加地社長のように、選手、OB、ファンからも支持を集められるはずだ。
ところで、その加地社長。
シーズン中、たびたび試合前にライトスタンドに姿を見せていたが、シーズン終盤になると姿も発言も消え、最終戦でも結局ファンの前に姿を見せなかった。身売りの交渉などで多忙を極めていることは容易に想像できたが、シーズン前にインタビューした時に「今年優勝しなかったらベイブリッジから飛び降りる」なんて言っていたことを思い出し「まさか」と直撃。今は微妙な状況のため、多くを言えない立場ではあるが、本拠地最終戦で伝えることができなかったファンへのメッセージをくれた。
「本拠地最終戦では胴上げのセレモニー等の関係でファンの方に直接お詫びをできなかったことが心残りでした。本当に今シーズンのことは土下座をしたい思いです。現在、ファンの方には不安な思いをさせてしまっていますが、ベイスターズはこれからも横浜で続いていくことだけは間違いありません。野球の力は偉大です、ベイスターズは横浜という地域をつなぎ、家族をつなぐ存在になります。皆さん一人一人が声を上げ、参加してください。少しでも愛してください。そのためなら僕は何だってやらせていただきます。来年からも一緒に新しい横浜の歴史を作っていきましょう」
連日、交渉で精力的に動き回りガラガラに枯れ果てた加地社長の声を聞いて、根拠はないが、安易ではあるが、こういう人がいるならば、大丈夫じゃないかと思えてきてしまう。
「モバゲーベイスターズ」「新庄監督誕生」など、話題が先行するばかりで、DeNAがどんな球団運営をしていくかはまだ未知数ではある。不幸な関係まで踏襲してしまうのか、それとも別の何かを提示してくれるのか。
ただ、愛してくれるのなら横浜が怪盗ロワイヤルだらけの町になることは間違いない。それもまた微妙ではあるが。