野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
横浜モバゲーベイスターズ誕生前夜?
ファンの本音を聞いてみた――。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/10/26 13:50
シーズン最終戦。9回裏に代打でバッターボックスに立った長野が逆転サヨナラ満塁ホームランを放った……茫然とする横浜ベンチ
長野の描いた大きな放物線が、ライトスタンドのオレンジの中へと吸い込まれた瞬間、「横浜ベイスターズ」の今シーズンの戦いは何の余韻も残さずに幕を閉じた。
最終成績47勝86敗11分。ただの最下位じゃない、またしてもどん底の最下位に終わった。巨人を相手にして、今シーズンの締め括りとしてこれ以上ない代打逆転サヨナラ満塁ホームランでの終劇に、それまで声を張り上げ最後の応援をしていたレフトビジターの小さな一角は、悲嘆の声すらも失いただ静まり返るだけだった。
10月22日の最終戦、最終回までは終盤戦に顕著に見られた新戦力の活躍による未来に希望が持てる戦いをしていたのだ。先発した育成上がりの国吉佑樹は7回途中まで無失点に抑え、後を受けた大原慎司は新人最多記録となる71試合登板。筒香、荒波、松本啓二朗に黒羽根。スタメンに名を連ねた若手も着々と力をつけてきている。主砲の村田だって2打席連続本塁打で通算250号を達成。来年に向けて楽しみな要素はいくつもあった。
それだけにキツかった。そんなものをすべてチャラにされたような、あの一発。
何か持っている……というか、憑いているとしか思えない。'98年とは別のモノノケの類が。
4日前の本拠地最終戦はドラゴンズの胴上げと重なり、球団からは何の挨拶もなくただバックスクリーンにメッセージが流れたのみで終わってしまっていた。シーズン終了を迎えたベイスターズは、試合後尾花監督以下、一軍首脳陣全員の休養が発表されただけで長いオフに突入した。
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「こんな終わり方で、このオフを過ごさなきゃならないのかよ……」
一緒に観戦していた友人が帰り際に呟いた。
この試合が実質TBS体制として最後の試合であることはほぼ間違いなかった。そして「横浜ベイスターズ」として最後の試合になる可能性があるということも。
この後にはヤツがやってくる。身売りが。下手したら本拠地移転が、チーム名変更が。CoCoが歌う球団歌みたいな衝撃が(今は好きだけど)。
折れそうだ。不安で心が折れそうだ。
「身売りはここ数年、秋の風物詩になり過ぎて、もはや季語といえるぐらいの恒例行事。ファンとしてもこの話題がのぼるとシーズン終わりも近いなと思うぐらい。毎年出すぎて感覚が麻痺しかけていますけど、いい加減早く決まってほしいですね」(外資系OLのアヤコさん)
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長野の衝撃的な一発でビバ・ジャイアンツとなった2日後の24日、横浜はモバ・ベイスターズだった。