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漫画家・高橋陽一が、あえて
“小説”で伝えたかったこと。
~『サッカー少女 楓』執筆の理由~ 

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posted2011/10/10 08:01

漫画家・高橋陽一が、あえて“小説”で伝えたかったこと。~『サッカー少女 楓』執筆の理由~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『サッカー少女 楓』 高橋陽一著 講談社 1400円+税

「キャプテン翼」の作者として知られる人気漫画家の高橋陽一さんが、このほど、“コミック+小説”というスタイルで『サッカー少女 楓』を刊行した。

「女子サッカーを応援していきたい」という願いが込められた一冊は、サッカーを愛する女子高校生「楓」を主人公にした青春小説だ。楓のモデルとなったのは、ドイツ女子W杯でMVPを獲得した「なでしこジャパン」の主将、澤穂希。過酷なロンドン五輪予選を勝ち抜き、出場権を獲得したことで、再び「なでしこ」に注目が集まっているが、高橋さんと「女子サッカー」の出会いは4年前に遡る。

「2007年の中国W杯予選プレーオフのメキシコ戦を見て、女子サッカーの魅力を知りました。応援し続けようと決めたのは、2008年の北京五輪で彼女たちが4位になったときですね。サッカーに集中することが難しい環境の中、なでしこたちは、あと一歩でメダルに手が届く位置までたどり着いた。その『あと一歩』を自分にできることで応援したいと思ったのです」

「キャプテン翼」の世界観とは異なる物語。

 高橋さんは五輪後、澤や永里優季への取材を重ねた。個人としての成功よりも、チームの勝利を願う考え方、ピッチの内外で仲間を献身的にサポートし続ける姿勢を見て、「キャプテン翼」の世界観とは異なる物語が、高橋さんのなかに生まれていったという。

 小説の舞台は神奈川・湘南。サッカーに青春を捧げる少女の夢は、なでしこジャパンのメンバーになり、女子W杯や五輪で金メダルを獲得することだった。女子サッカー部を設立した楓に、部解散の危機やライバル校との激闘など、さまざまな試練が降りかかる。永里や宮間あやがモデルとなった登場人物たちとともに、楓は夢の実現へ向けて進んでいく。

 今回、漫画家である高橋さんが、小説というスタイルに取り組んだのは、ある理由があった。

「2012年ロンドン五輪でのメダル獲得へ向けてのサポートをしたいと思っていましたが、実際の選手たちは早くもドイツW杯で優勝という結果を出してくれました。嬉しさを感じる一方で、フィーバーに沸く時期だからこそ、伝えたいことが強く湧きあがってきたのです」

【次ページ】 女子サッカーを一過性のブームで終わらせないために。

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