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漫画家・高橋陽一が、あえて
“小説”で伝えたかったこと。
~『サッカー少女 楓』執筆の理由~
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph bySports Graphic Number
posted2011/10/10 08:01
『サッカー少女 楓』 高橋陽一著 講談社 1400円+税
女子サッカーを一過性のブームで終わらせないために。
ストーリーは完成していたものの、高橋さんの場合、漫画で描くとなると2年から3年の時間を要してしまう。より早く読者に届けるために、小説という形を選んだ。
「小説は私の本職ではありませんから、自分の思いがどのくらい伝わるのだろうかという不安はありましたね。そんなこともあって今回は、物語の世界観を伝えるために、冒頭に漫画とキャラクター紹介を入れることにしたんです」
世界中の若者を虜にしたストーリーテラーが、物語に込めた思いとは。
「W杯でのなでしこの活躍を見て、今はたくさんの少女が、ボールを蹴りたいと思っていることでしょう。そういうタイミングだからこそ、練習環境を整備すること、育成に力を入れることの大切さを伝えなくてはいけないと思ったのです。
女子サッカーを一過性のブームで終わらせず、文化として根付かせるためには、土台作りが重要です。サッカーの魅力を知った女性がいつか母になり、娘に伝えていく……。この本が、そんなきっかけになってくれれば嬉しいですね」